西新宿に住む歯科技工士の初子は「俳句おばさん」としてもご近所ではちょっと知られた存在。しかも、時々巻き込まれる難解な事件を持ち前の推理と、無謀ともいえる行動力で解決させてしまうから、甥で警察研修生の兵吉も頭が上がらない。その初子がある日、犬にかまれた。あわてて駆け込んだ先が獣医の大矢のところ。ところが今の日本に「狂犬病」などほとんどないとケンもホロロにあしらわれ、初子は面白くない。だが、その大矢が歯の悪い犬にブリッジで矯正治療を施しているのを見て感動してしまう。ところが初子が腕の良い技工士と知った大矢は、犬のブリッジを依頼する。しかもこの獣医は「犬ブーム」のバブル退治として、アメリカで学んだ犬の精液の冷凍保存による人工交配を普及させ、種付け目当ての投機的飼育をくい止めたいと、熱っぽく自分の夢を語りだしたのだった・・・。