ある夏の日、山口県の山中で白骨死体が見つかった。遺体は野崎利江（田中美佐子）と判明。半年前、西島卓平（大滝秀治）が警視庁に捜索願いを出した女性だった…。利江は、福島県郡山市の出身で、中学2年生の時に実家が倒産。高校2年生の時には両親が蒸発、高校を中退した。その後上京し、ホステスやコンパニオンをして生計を立てていた。数年後、西島グループ会長、西島卓平（大滝秀治）と出会い、利江の生活は一変。西島の愛人になり、豪邸を与えられ、十分な手当をもらう生活になったのだ。ある日、会社創立パーティーに西島の同行者として出席した利江は、秋葉文作（風間杜夫）と再会する。文作は利江が以前勤めていた池袋のクラブの客で、西島グループ下請け会社のしがないサラリーマンだ。利江は、かつて愛した文作に自分の電話番号を渡し、連絡してくれと言い残す。しかし、文作にとって利江はもはや昔の女ではなく、政・財界にも顔が利く会長の愛人だった。迷ったあげく半月後に利江に連絡を取った文作は、そこで肉体関係を持つ。このことが会長にばれたら、人生から転落することを文作は知っていた。だが、その危険をおかしてまでも関係を持ったのは、自分の出世のためだった。やがて文作の出世街道が開いた。利江の力でリストラをはずれ、本社の部長へと昇進に成功したのだ。実は利江には文作と付き合い始める前にもう一人男がいた。5歳年下の沼田仁一（袴田吉彦）だ。しかし、文作と出会ってから、少しずつ疎遠にしてきた。仁一は、利江に自分以外の男の影を感じている…。ある日、文作は利江から「子供が出来た」と聞かされ戸惑う…。さらに奥さんと別れて欲しいと、文作のすべてを望み始めた。その瞬間、出世欲にとりつかれた文作の心に殺意がうまれる…。