東京は向島の名物芸者・菊千代が、熱海の一流旅館にやとわれ女将として迎えられた。大女将の佳代は怪我で入院。娘の裕子が若女将として旅館を切り盛りし、その夫・孝男も経営を手伝っているが佳代としてはどうにも頼りない。相談を受けた旅館組合会長・辰之助の紹介で菊千代がしばらく佳代の代理を務めることになったのだ。とはいえ、若女将として自信のある裕子には菊千代のことが煙たくて仕方ない。裕子は菊千代の助言も聞かず宣伝のためだからとテレビ局の取材を招き、ディレクターたちに客以上の特別扱いを始める。その晩遅く、旅館に泥酔した客が一人やってきた。その男・雁次郎は札束をちらつかせたり無理難題を言い出したりと菊千代たちを困らせた。しばらくして喪服を着た女性客・弘美がチェックインした。弘美は一緒に来るはずだった夫の葬式を終えたばかりだと言いいきなり位牌を取り出した。泣いてばかりいるこの弘美と怪しい雁次郎、そしてテレビの取材クルー、一組の怪しいカップルが加わって旅館は前代未聞の事件に巻き込まれていく。