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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2013年3月5日 O.A.

#98 ニース発 南仏の大渓谷ヴェルドン

フランス

地図

今回の舞台は南フランス。ニースを出発し、ヨーロッパのグランドキャニオンといわれる絶景の地、ヴェルドン渓谷を旅します。フランス人はバカンスを楽しむ達人ぞろい。慌ただしい日常を離れ、キャンプにトレッキングにと、大自然を満喫していました。車窓から見えるのは、荒々しい岩山とエメラルドグリーンに輝く美しい川。渓谷の奥にあるサン=クロワ湖を目指しバスは走ります。

旅の出発地 ニース
旅の起点は南仏、地中海に面した町ニースから。海岸にはバカンス中の女性たちが日光浴を楽しんでいました。旅の行き先を迷っていると、地元のタクシー運転手に出会います。運転手によると、南仏は海もいいけど山もいいんだとか。近くにヨーロッパ最大級の美しい渓谷があると聞き行ってみることにしました。

ヴェルドン渓谷の玄関口 カステラーヌ
ニースを出発しておよそ2時間。渓谷の玄関口、カステラーヌにやってきました。バスを降りてびっくり。山奥の小さな町に人が溢れています。地元の人によると、バカンス中は町の人口が何倍にも膨れ上がるんだそうです。キャンプ場でバカンス客が集う野外パーティに招待され、お酒やバーベキューを片手におしゃべり。フランス人にとってバカンスは、慌ただしい日常を離れ、家族の絆を深める大事な時間なんだそうです。キャンプ場が気に入り宿泊しようとしましたが、あいにくの満室。急遽、仲良くなったご家族のテントに泊まらせてもらうことになりました。

景勝地 ポワン・シュブリーム
翌日、バスの運転手におすすめの場所を聞き行ってみることに。しかし、走る道は断崖絶壁ギリギリでかなりスリリングなドライブです。やってきたのは景勝地のポワン・シュブリーム。荒々しい岩山がそびえる美しい渓谷の風景を堪能しました。川へおりてみると、ウエットスーツを着た集団がやってきました。これからウォーターハイキングという遊びをすると聞き、仲間に入れてもらうことに。ウォーターハイキングでは、川に横たわる奇岩の下を潜ってみたり、5メートルもある大きな岩から川へジャンプしたりと渓谷の大自然を目一杯楽しみました。

陶器の都 ムスティエ・サント・マリー
再びバスに乗り、さらに渓谷の奥へ。途中、たくさんの人で賑わう停留所を見つけ降りてみることにしました。そこはムスティエ・サント・マリーと言われる小さな村。路地にはなぜか陶器店ばかり軒を連ねています。一軒の陶器店に入り話を聞くと、村は、ルイ14世の時代から「陶器の都」として栄えた歴史があることを知ります。店にはクラシカルなデザインの食器が並べられていました。フィリップさんの紹介で、陶器の工房にお邪魔し、絵付けの様子を見学させてもらいます。工房を出たころ、ちょうど日が暮れようとしていました。バスの運行が終わり困り果てていると、仕事を終えたフィリップさんと再会。なんと家の食事に招待してくれるそうです。ご自宅の庭では満点の星空を眺めながら、野菜たっぷりのプロヴァンス料理を頂きました。結局、そのままフィリップさんの家に泊めてもらうことになりました。

真っ青な水をたたえる湖 サン=クロワ湖
翌日、ゴールの湖を目指し再びバスに乗車します。出発しておよそ5分、車窓に真っ青な湖が姿を現しました。いよいよゴールのサン=クロワ湖に到着です。湖には、水遊びやパラグライダーを楽しむバカンス客。みんな思い思いに自然を満喫していました。最後にたどりついた安らかな水のオアシスで一休みしたら、バカンスもそろそろ終わりです。