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地球バス紀行

毎週火曜22時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2012年9月4日 O.A.

#73 トロント発ナイアガラ経由サウスロードへ

カナダ

地図

トロント
カナダ最大の都会トロント。ここは世界各国から移民してきた人種のるつぼ。その多様さはアメリカ以上の印象がある。公用語でもあるフランスからの移民は言うに及ばず数多くの移民街が点在する。リトル・イタリーやリトル・ジャマイカ、リトル・インディア、中華街、コリアタウン、グリークタウン、ポルトガル・ビレッジ、ポーリッシュタウン(東欧系)、ジューイッシュ・ネイバーフッズ(ユダヤ系)など、モザイクのような人々でこの町は構成されている。市内バスに乗って、いろいろな移民街を訪れる。

ナイアガラ
トロントのバスターミナルからナイアガラの滝へ。所要たったの2時間。南進を始める前に高名な滝に寄り道をする。遊覧船は運航休止中だが、ヘリコプターでの遊覧を満喫。この先の旅路への期待が高まる。オンタリオ州屈指の美しい小都市、ナイアガラ・オン・ザ・レイクで、ワイナリーが近くにあると聞きブドウ畑へと向かう。

チャザム
一旦トロントに戻り、南へむかう長距離バスに乗車。カナダ南端の街ウインザーへの経由地・チャザムに立ち寄る。食堂で話を聞くと、この辺りは農家が多いとのこと。出会ったのはトウモロコシ農家の陽気なおじさん。合衆国からカナダへと逃げてきた黒人奴隷の子孫だという。幸せな一家の姿に人種差別と闘い土地を切り開いた人々の歴史を重ねる。

ウインザー
チャザムから長距離バスに乗り、カナダ最南端の街・ウインザーに到着。カナディアン・ウイスキーの蒸留所で知られるこの街。アメリカ合衆国に禁酒法がしかれていた時代、ウイスキーの買い付けのために国境を越えてギャングたちもやってきたという。街はずれを流れるデトロイト川の向こうはアメリカ合衆国だ。夕景にまたたく対岸の都市の灯りを眺めながら、カナダの旅を振り返る。