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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2016年3月24日 O.A.

#249 遙かなるヒマラヤ 極彩色の祭りへ

ブータン
地図

USAさん、バス紀行最後の旅は「ブータン」。数年前にこの国の伝統的な舞踊を学びにきたことのあるUSAさんが、当時の恩師を再び訪ね、その時に参加できなかった大きなお祭りを見に行きます!

サムドゥップ・ジョンカル

インドとの国境に接するこの町が今回の旅の出発地。様々な商店の中にはインド人経営のお店もちらほら。しかしやはり町の中には巨大なマニ車のお堂もあり、そこはやはりブータン。たくさんの人々が車を回しお祈りを捧げに来ています。そこで、今回の旅の目的「ツェチュ」というお祭り開催の情報をゲット。どうやら近々トンサという中部の町で開かれるとのこと。早速バスでその町を目指します。

タシガン〜ラディ村〜チャムカル

サムドゥプ・ジョンカルから峠を越えて350キロほどのトンサの町。しかしその行程は思った以上に険しく長いものでした。富士山並の標高がある峠を越えて2泊3日の道のり。100キロほどの距離を8時間のかけて進み、1日目の宿泊地はタシガン。
この町の特産品は色とりどりの絹糸や絹織物が有名で、民族衣装の「キラ」「テゴ」「ゴ」などが作られている。この町のそばのラディ村がその生産地。絹織物を作っているところを見学しにラディ村へ。実はそのラディ村にはUSAさんが数年前に民族舞踊を習うためにホームステイした先生の家がありました。久々の再会。これから前回見られなかった祭り「ツェチュ」に行くことを話すと、そこで祀られる踊りのステップを披露してくれました。翌朝、色とりどりの「ルンタ」という旗に見守られ、峠でバスはお祈りのために仏塔を一周する。絶景だけど滝が落ちる最大の難所を越えて雪道を往くバスは、2日目の宿泊地チャムカルに到着。ここで一泊しバスは翌早朝6時出発。3日をかけて目的地トンサへ到着します。

トンサ

バスにゆられて26時間、ついにトンサに到着。標高約2000mにあるここは、第3代国王の生家があり「王家の谷」としても知られています。目的の「ツェチュ」の祭りは明日から開催のため町はなだ準備中。なので町を散策していたらたくさんの人が水を汲む湧水を発見。なんでも「飲むと声が良くなる」とか。近くの商店で話を聞くと、その水のおかげで美声になったという看板娘さんが歌を披露してくれました。本当に美声でびっくり。女神が授けた霊泉と誉れ高い水の噂は本当かもしれません。
翌日、これから4日間開催されるお祭りの初日。「ツェチュ」は町の中央にそびえる「ゾン」というお寺と県庁が合わさったような施設の中に広場で開催されます。ブータンに仏教を伝えたとされる高僧を祀るお祭りが「ツェチュ」。色とりどりのの民族衣装に身を固めた踊り手たちが次々と、4日間踊り続けます。みんなに祝福を授ける神聖な踊り。ブータンの人々にとって、とても大切なお祭りを見届けることができた今回の旅。みんなの幸せを祈って踊る。踊って祈る。ダンスっていうエンターテイメントのその先に、みんなを幸せにする祈りがあるって気づいて、眼からウロコが落ちる思いの旅になりました。