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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2015年7月16日 O.A.

#219 デンパサール発 神々の島バリを行く

インドネシア
地図

今回の旅の舞台は、世界中の観光客を魅了して止まない、インドネシアを代表する人気リゾート地、バリ島。バリ・ヒンドゥーと呼ばれる独自の宗教と、それに基づく独特な文化から「神々の島」として知られるバリ島を、「ベモ」と呼ばれる乗り合いバスで内陸を縦断します。

デンパサール

旅の始まりは、州都デンパサール。その名の通り、「パサール(市場)」がそこかしこに開かれるエネルギッシュな町で見つけたのは、パサール・バドゥンという24時間営業の市場。生鮮食料品から日用雑貨まであらゆる物が売られるバリ最大の市場で、「チャナン」と呼ばれるお供え物を知りました。9割がバリ・ヒンドゥー教徒であるバリの人たちにとって毎日のお祈りに欠かせない花飾り。バリの人たちの信心深い一面に触れました。
中心部から外れた場所を歩いていると、何やら道沿いに沢山の生き物が。聞けばサトリア鳥市場と呼ばれるペットショップが集まった通りで、鳥はもちろん、トカゲやヘビといった爬虫類はもちろん、猿など珍しいペットまで売りに出されていました。そこで見つけたのはキンタマーニ犬と呼ばれるバリ原産の可愛らしい犬。キンタマーニというのはバリ北部に位置する高原地の名称で、バトゥールと呼ばれる山と湖が織り成す景色から、バリ随一の景勝地として名高いのだとか。
ビーチリゾートで有名なバリ島ですが、目的地をバトゥール湖の景色とバトゥール山でのトレッキングと決め、バスでの旅がスタートしました。

ウブド

ベモと呼ばれる乗り合いバスでキンタマーニに向けて出発したのですが、途中の乗り換え地点で、キンタマーニ行きのバスが午前中にしか出ておらず、思わぬ足止めを食うことに。他のドライバーにどこかオススメの行き先はないかと尋ねると、5年前に訪れたことがあるウブドがキンタマーニへの途中地点であることが判明、再訪することに。ウブドへの運転手と話していると、「バビグリン」と呼ばれる豚の丸焼きがバリ名産だと教えてもらい向かうことに。ウブドの人気店「イブ・オカ」で舌鼓を打ちました。
その後、街中の看板からバリ舞踊のレッスンを行っているゲストハウスを見つけ訪ねてみると、小さな女の子達のレッスン中。男性の踊りを過去に習ったこともあり、今度は女性の踊りを身に付けようと教えてもらったのですが、そこは伝統舞踊、そう簡単にはいきませんでした。

タンパクシリン

翌日、宿を出発する際に、キンタマーニへ向かう途中にあるタンパクシリンという町に、「ティルタ・ウンプル」という世界遺産の寺院があることを教えてもらい立ち寄ってみることに。
途中、運転手が指示してくれた場所を見ると、わずかではありますがバリでも有名な棚田も見ることができ、バリらしい車窓を楽しむことができました。
聞けば、ティルタ・ウンプルには、神々の戦いの末に湧き出たという伝説の残る聖なる泉が存在し、その湧水で沐浴できるのだとか。世界遺産の寺院で伝説に残る聖水を浴びて体を清めるという貴重な経験ができました。

キンタマーニ

タンパクシリンから旅の目的地キンタマーニへの移動は「ベモ」ではなく、この旅初めての「バス」。広い車内での移動を楽しんでいると、運転手がタバコを吸ってる姿を発見。何でも、エアコンが付いていない古いバスでは窓を開けることができるため、喫煙OKなのだとか。異国ならではのバスルールを知ることができました。
昼日中にようやく目的地へ着いたのですが、あいにくの天気。雨宿りのため飛び込んで商店でバトゥール山のトレッキングは日の出トレッキングという情報を聞き、湖の麓にあるトヤ・ブンカという村に一泊することに。
翌日のトレッキング出発は午前4時。辺りが真っ暗の中を、公認ガイド・マデさんの案内の元、トレッキングスタート。まずは山の神に入山の許しを得るためにお祈り、バリの慣習なのだとか。無事に登頂できることを願ったのですが、そのそばから雨が降り出し、過酷な状況に。
そんな苦労もあってか、頂上へ着いた時の喜びはひとしおでした。日の出こそ見られなかったものの、悪天候が生み出した雲海がバトゥール湖に広がり、何とも幻想的な景色で旅を締めくくることができました。