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地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2014年11月6日 O.A.

#184 カンヌ発 紺碧海岸を行く

フランス

地図

今回の舞台はフランス。地中海に面した南仏の都市をバスで巡り、イタリアとの国境の町、マントンで開催される“レモン祭り”を目指します。

旅の起点 カンヌ

旅の起点は、南仏屈指のリゾート地、カンヌ。雲ひとつない晴天の下に、紺碧の地中海が広がっています。ここは言わずと知れた国際映画祭の開催地。そんな高級感あふれる町の雰囲気も、一歩路地に入れば一変。そこには、地元の人々の生活あふれる市場がありました。南仏で育った野菜や果物が所狭しと並んでいます。その中で最も目をひいたのは、真ん丸で大きなレモン。これは、イタリアとの国境の町マントンの特産物だそうで、ちょうどこの時期、“レモン祭り”と呼ばれる盛大なお祭りが開催されていると聞き、そこを旅の目的地にすることにしました。

ビオットのレストラン

まずはカンヌからマントンへの乗り換え地点であるニースを目指すことに。車内で隣り合わせた若者と話していると、これからレストランを開く予定で、しかも彼女が日系フランス人と聞き、意気投合。誘われるがまま、彼が住むビオットという町で途中下車することになりました。案内してくれたレストランは、お城かと見紛うほどの豪奢な造り。中へ入ってみると、オープンに向け改装の真っ最中。オーナー自ら工事を手伝っているのだとか。そして美人な彼女と一緒に作ってくれた地中海料理をご馳走になりながら、夢に向かう若者との会話を楽しみました。

ビオットのガラス工房

食後、ビオットがガラス工芸で有名な町だと聞き、友人が働くという工房を訪ねることにしました。そこに飾られていたのは、美しいガラスアートの数々。ただのグラスやお皿ではなく、遊び心たっぷりの作品ばかりです。工房ではガラスアート作りの体験をできると聞き、早速挑戦してみることに。見かけによらず、実際にやってみると、なかなか難しいガラスアート作り。1200度の窯の熱に悪戦苦闘しながら、ガラス職人の厳しさを、身をもって体験しました。

雨降りのニース

再びバスに乗り込み、最終目的地までの乗り換え地点、ニースへ向かいます。車窓から真っ青な地中海が見渡せると思いきや、天気は下り坂。ニースに到着した時には、雨は本降りに。雨宿りに入ったカフェで出会った女性から、旧市街が見所と聞き、折角だからと雨のニースを散策してみることにしました。行ってみると市が開かれており、何やらユニークなお店が。聞けば杖の専門店。一般的な杖から仕掛け付きの珍しい杖まで、その種類は様々です。お店を経営する陽気な夫婦と、楽しい時を過ごしました。

マントンのレモン祭り

翌日、ようやく最終目的地のマントンに辿り着きました。気持ちよく晴れ渡った空の下、待ちに待ったレモン祭りを見に行きます。音楽が鳴り響く会場には、大勢の観客が集まっていました。いよいよ、パレードの始まりです。登場したのは、無数のレモンで施された山車。チョウチンアンコウやクラゲ、そしてアザラシを模った、何とも不思議なレモンの山車。とにかく大賑わいの会場で、南仏の陽気な人々と共に、今回の旅を締めくくりました。