地球バス紀行トップへ戻る

地球バス紀行

毎週木曜21時オンエア

人間の鼓動に出会う旅、一篇の旅物語
旅の案内役は「バス」です。大陸を横断する長距離バスから都市部を毛細血管のほうに走り回る生活導線バス。早足の旅ではけっして見えて来ない車窓の風景が、乗り合わせた人との出会いが、いろいろな物語を紡ぎだしていきます。

2013年10月3日 O.A.

#128 オスロ発 深緑のフィヨルド海岸へ

ノルウェー

地図

首都オスロから、西部のフィヨルド地帯へ。地元の人たちの情報を頼りに穴場スポット巡りを楽しみます。ちょうど太陽の季節を迎え、車窓には緑が溢れていました。そして、あの有名な絵画「ムンクの叫び」のゆかりの地も訪ねます。

24時間有効のバス乗車券を買って、まずは首都オスロのフログネル公園にやってきました。園内には様々な彫刻が並んでいて、中でも “おこりんぼうの像”という、子どもが怒っている像の前には人だかりができていました。ちょっとした観光スポットになっているみたいです。近くにあった芝生の上で日光浴を楽しむ地元の人たちを見つけました。公園だというのに、みんな水着姿でごろごろしています。一風変わった光景ですが、太陽の季節が短いノルウェーの人たちは太陽が出るとこうやって、日が暮れるまで日光浴を楽しむのだそうです。
次にあの有名な画家、ムンクの美術館に立ち寄ってみることにしました。しかし残念なことに本日は休館。近くにあるカフェなら開いているということで、店員さんのおすすめのケーキを頼むことに。なんとそのケーキには名作“ムンクの叫び”の人物が描かれていました。本物の絵画も見ることはできなかったけど、このケーキで我慢することにしました。この絵画の背景である“エーケベルグの丘”にバスで行けると聞き、さっそく行くことにしました。エーケベルグの丘は車道の途中にあり、有名な絵画だけあってここで下車する人も多いそうです。オスロの変わらない歴史ある町並みが旅人を楽しませてくれました。
オスロの中心地に戻ると、夜の9時を過ぎていました。慌てて宿泊場所を探していると、運よくバックパッカー用の安宿を見つけることができました。宿のご主人のおすすめで、明日はノルウェーを代表する大きなフィヨルドを目指すことにしました。

オスロ2日目の朝は、あいにくの雨。今日は宿の主人から聞いたハダンゲルフィヨルドのある町、ノールハイムスンへ向かいます。バスに乗ってしばらくすると、窓の外は銀世界。そしてまた緑色の世界に。車窓は目まぐるしく変わっていきます。水辺が見えてくるとバスが停車しました。ここが駅かと思っていると、バスは客を乗せたままフェリーに乗り込みます。なんとフィヨルドを渡るフェリーもバス路線の一部になっていたんです。乗客はデッキに降りて、ひとときのクルージングを楽しみました。
バスに揺られること10時間、ノールハイムスンに到着しました。目の前に広がる水辺は湖に見えるけれど海水で、このハダンゲルフィヨルドは氷河期にできた分厚い氷が浸食してできた湾なのだそうです。なんとこの風景になるまで数百万年という月日を要したんだとか。
今日は、地元の人から紹介してもらった、リンゴ農家のヘイディーさんのご自宅に泊まらせてもらうことになりました。
翌日、朝早くからヘイディーさんのリンゴ畑を見せていただくことに。リンゴの木には白いかわいらしい花がついています。だけど今日の作業は、この花を摘んでいくこと。なんでも花が付きすぎると、いいリンゴができないのだそうです。見学を終えた後は、ヘイディーさんの知り合いのアルフさんのご厚意で、フィヨルド巡りに連れて行ってもらうことになりました。アルフさんのボートに乗って、美しい滝や、切り立った崖を案内してもらいました。
最後は、ステインダール滝というダイナミックな滝を訪れます。そこでは、オスロからバスで旅をしてきたという、偶然にも自分のバス旅ルートと一緒だった少年に出会いました。バスが進むたびにいろんな表情をみせてくれるノルウェー。そこに暮らす人々は、皆温かい心を持った人たちでした。