地球千年紀行
~先住民族の叡智に学ぶ~

  • 次回は2月26日(日)22:00~22:54

世界の先住民族たちの文化や暮らしには、私たちが直面する環境問題のヒントがありました。月尾教授が、その叡智を探ります。

地球千年紀行~先住民族の叡智に学ぶ~

Cast

月尾嘉男(東京大学名誉教授)

番組内容

世界の先住民族たちの文化や暮らしには、私たちが直面する環境問題のヒントがありました。環境問題の第一人者、月尾教授が、その叡智を探ります。

#20「ブータン王国~世界が注目する幸福国家~」 (’12年02月26日放送)

2011年7月に国連が世界の長期方針のひとつとして「GNH」を採用した。GNHとは国民総幸福量。ヒマラヤの小国ブータンが国家理念として掲げているものだ。
ブータンの第4代国王ジグミ シンゲ ワンチユクは、1976年に「GNH(グロス・ナショナル・ハッピネス=国民総幸福量)」は、GNP(国民総生産)よりも重要である」と発表。物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求めることを国民に提唱したのだ。2005年に政府が行った国勢調査によればブータン国民のなんと97%が「幸福である」と感じているという。
今回、月尾教授は、ブータン政府がGNHを実践するために定めた四つの政策(持続可能な社会経済開発・自然環境の保護・伝統文化の振興・優れた統治)が具体的にどのようなものであるかを探ってゆく。最初に訪れたのは、首都ティンプーから車で6時間ほどの小さな村。そこで見たものは村中に張り巡らされた電線。生活の改善のために電力の普及が進められていた。しかし、環境への負荷を少なくするために政府はある工夫をしていた。それはまさに「電力の地産地消」ともいうべき取り組みだった。
また、ブータンでは憲法によって「森林面積を永久に国土の6割以下にしてはならない」と定められている。そのため、国民総出で植林をする「社会林業の日」を定めたり、一本の木を伐採するにも国の許可が必要だったりと、大変な努力と厳しいルールが課せられている。国民も自然保護の重要性を理解し、GNHのために政府と力を合わせているのだ。
伝統文化の振興もGNHのために重要な役割を担っている。街中の建築物に伝統的な装飾を施すことを義務付けたり、授業はすべて英語だった小中学校で、公用語である「ゾンカ」の授業を取り入れたりと様々な取り組みを行っている。伝統文化を身近に感じ、国民としての誇りを持つことが「幸福」につながると政府は考えているのだ。
経済的な充足と心の充足のバランスをとりながら進める近代化。ブータン政府と国民の取り組みは、日本だけでなく、経済至上主義が破綻して進むべき道を見失った世界の国々に様々なことを教えている。

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