人間国宝~日本が誇る匠の技
#7 「竹工芸 一子相伝 華麗なる技」(’10年02月04日放送)
1932年 四世・早川尚古斎の長男として大阪で生まれた五世・早川尚古斎は1966年に、34歳の若さで日本伝統工芸展に初出展し初入選。以来今日に至るまで花器を主に個性的な創作に専心してきた。人間国宝に認定されたのは2003年。初受賞から37年…竹工芸の第一人者でも国宝になるまでは長い道のりを歩き続けて来た。そんな彼は自らが手がける一つ一つの作品に、どのような思いを込めているのか?「作品を手掛けるとき、竹と相談しながら!」という気持ちで接する早川尚古斎。また彼の作品は、竹を編むことよりも、竹を組み上げることに特徴がある。それは、『編む』ことは、先人たちにより技法がほぼ確立されているので『組む』こと。つまり横回りの線をなるべく少なくし、縦の直線を美しく見せることについて試行錯誤していることだ。
番組では「時代との接点を見出し、その時代に合ったものを作る!」と言うことを常に意識しながら作品に挑む人間国宝 五世・早川尚古斎の魅力に迫る。
#6 「白磁 井上萬二 新作に挑む」(’10年01月28日放送)
磁器の世界でも「完璧さ」が求められる白磁。一切の加飾に頼らず、柔らかで滑らかな造形だけで、端正さ、温かさ、凛とした風格を表現するのが難しいと言われる。その第一人者が平成7年(1995年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)認定された井上萬二さん。「現代の名工」労働大臣表彰、日本伝統工芸展で文部大臣賞、平成9年紫綬褒章受章。
昭和4年、佐賀県有田町の窯元の家に生まれる。14歳の時に海軍予科練に入隊。単なる窯元の跡継ぎにはなりたくなかったという井上氏は、復員後に地元有田の柿右衛門窯に入門。大物ろくろ師で人間国宝の初代奥川忠右衛門らに師事、作法を習得した。29歳で柿右衛門を退社して県窯業試験場の技官となり、伝統的な白磁制作作法を極め有田焼の振興と後継者育成に貢献。1969年以降、数回にわたり米国ペンシルバニア州立大学から招かれ有田焼の講師を務めるほか、ドイツ、ハンガリー、モナコなどでも個展を成功させ、現在も作品制作と師弟の育成に余念がない。跡継ぎとなる長男・康徳さんも白磁の人気作家となっている。
今回は白磁に様々な応用を加えた新作「白磁緑彩釉染牡丹彫文皿」【※緑を使って彩りを加え牡丹の彫文に釉薬(ゆうやく)を使った白磁の皿】が出来上がる過程を克明に記録。また、井上萬二窯の4人の職人と長男・康徳さんを育てあげた秘話、陶土へのこだわりなど、人間国宝・井上萬二の世界をハイビジョンの美しい映像で余すとこなくご紹介する。
#5 「本美濃紙・日本最古の和紙漉き」(’10年01月21日放送)
美濃市に、本美濃紙1300年の技術と伝統、歴史を受け継ぐ保存会がある。その保存会が国宝に認定されて早37年。初めは300軒ほどの和紙漉きを生業にした家が生産していたが、現在では本美濃紙保存会の代表の澤村正さん宅ともう1軒を残すのみ。後継者不足に悩む寒村で伝統を守り国宝の誇りをかけて今新たな挑戦が始まっている。
本美濃紙の里…、ここでは大学を卒業して澤村さんに弟子入りした28歳の女性・家田さんが師匠から伝授された和紙漉きの技術を高めながら、新たな和紙漉き職人として独立するまでの間、生計を立てるために働いている。和紙職人が1日掛けて作る和紙。確かな技術で良いものは10年もあればムラ無く作る事は出来ると言うが、機械化の進む昨今では職人の1年分の作業を機械が1日で作ってしまう。需要と供給のバランスが崩れた和紙の世界で今何が起きているのか? 番組は、本美濃紙の伝統を守り続ける澤村さんと弟子の家田さんに密着。職人の意地と誇りを掛けた和紙作りの現場をドキュメントする。
#4 「江戸小紋・現代を生きる伝統美」(’10年01月14日放送)
ひと色で染められる江戸小紋。その魅力は、遠目には無地に見えるが近くに寄ると無限に繰り広げられる細かな文様にある。小紋は型紙に彫られた芥子粒のように極小の文様を布地に写して染める型紙染め。江戸時代、武士の礼装である裃に用いられるようになって大きく発展、庶民の間にも広がっていった。
3センチ四方に800から1200粒もの微細な文様群の一色染め、だからこそごまかしや小細工は利かない。一反の布を染める工程の中でも60~80回繰り返される「型付け」は、型のつなぎ目がずれないよう細心の注意と染料が乾かないよう手早い作業が要求される。熟練の技術があって初めて、繊細で優美な柄が浮かび上がるのである。
その技量が高く評価され、1978(昭和53)年に「江戸小紋」の重要無形文化財保持者となった小宮康孝さんは、東京浅草生れの80歳。先代にあたる父康助氏(1955年に重要無形文化財保持者認定)のもと、13歳の頃から型染めの修行に就いた。9年前病気で倒れ足が不自由になってからは、現場を取り仕切るのは息子の康正さんの役目であるが、「地直し」という染めの仕上がり工程は、今も康孝さんが担う。一反ものに二日はかかるというたいへん手間のかかる「地直し」。自ら筆を取り染料で必要に応じて修正を加える作業を黙々とこなす。
番組では、型付け技術の高さはもとより、江戸小紋に欠かせない型紙の後継者育成や、染料の研究に心血を注いできた康孝さんの職人気質、80歳の今も衰えぬ飽くなき探究心にふれながら、祖父の代から続く家業を引き継ぐ3代目の康正さんの仕事ぶりを通して、江戸小紋の魅力を伝える。
「よりよいものを求めて発展してこそ伝統」と語り、「客が汚さない限り、着物は永久にもつ。そういう商品をつくるのがお客からお金をもらう人間の使命」だと言い切る80歳。先代からの技術を受け継いだ3代目もまた「世の中に通用するものをつくるしかない」と、職人の意地を見せる。江戸っ子の粋は、次の時代にどう継承され新しい花を咲かせるのだろうか…。
#3 「刀剣 大隅俊平の世界」(’10年01月07日放送)
「武士の魂」と言われた刀作りに生涯を掛け、たゆまぬ研鑽を続けながら、日本刀の世界に挑み続ける現代の刀匠が人間国宝・大隅俊平(おおすみとしひら)さん平成9年に重要無形文化財保持者(人間国宝)認定、平成11年に紫綬褒章を受章、平成17年に紺綬褒章を受章。
1932年(昭和7年)群馬県太田市の農家に生まれる。12歳のときに刀職人となることを夢見て、20歳で人間国宝の宮入行平の門弟となる。32歳で太田市に戻り独立。日本美術刀剣保存協会が主催する新作名刀展に精力的に出品、第1回・第2回では努力賞、第3回~第8回では特賞、第9回以降は無鑑査出品となり、第10・12・14回では最高の賞である正宗賞を受賞。第14回からは審査員も勤めるなど多大な評価を得ている。現在、同協会の理事を勤める。
「刀が好きだったからこの世界に入った」という大隅刀匠は、「仕事は贅沢に、生活は質素に」という生き方を実践、数々の賞に輝くも決して奢り高ぶることはなく、「職人の仕事は作品が語るもの。自らの仕事を自ら解説することはしない」として、日々ひたすら創作活動に専念している。平成13年には敬宮愛子内親王の御守刀も謹作、その他作品の多くを伊勢神宮や地元太田市などに献納・寄贈している。
既に弟子は独立してひとりで刀作に励む大隅刀匠。今回は、昔ながらの伝統を守りつつ、さまざまな工夫を施す大隅刀匠の仕事に密着。作品が出来上がるまでの主な工程を美しいハイビジョン映像でありのままに紹介するとともに、刀匠が信頼をする人々への証言を交えて構成していく。
#2 「木工芸 中川清司の世界」(’09年12月10日放送)
2001年に人間国宝に認定された中川清司さんは、京都市内の桶指物師を家業としてきた家に生まれ、父・亀一氏に師事し、桶指物を中心に木工芸技法全般を体得した。
その後、唐木技法の第一人者と言われた竹内碧外氏に師事し多様な「京指物の技法」も習得、また、日本伝統工芸会の研修会にて人間国宝・黒田辰秋氏のアドバイスをヒントに「柾合わせ」という独自の技法を創作した。その中川さんの代表作が木画の箱。箱の表面に施された美しい幾何学的な文様…この模様はなんと1200個もの木片を使用して作るもの。ここまで細かな仕事をする上で中川さんが拘るのは「神代杉!」。その神代杉とは、火山の噴火で火山灰に埋もれ、腐らずに半化石化した杉のこと。しかも中川さんが使用するのは「およそ1000年ほど火山灰に埋もれていたものに限る」と言う。
一枚の神代杉の板を…縦に!横に!斜めに!長年の感で木目を見分けカット。300種類以上も揃えられた「かんな」を使い、慎重に木を削り素材を作る。「かなり年代が経っていないと、この独特な色が出ない。」と言う中川さん。
番組では神代杉の買い付けから、作品の仕上がるまでの行程を密着ドキュメント。木工芸の魅力に迫る。
#1 「輪島塗~漆から生れた技の結晶」(’09年11月26日放送)
能登半島最北の地、輪島。雪に閉ざされる厳しい自然環境は、この地に生きる人々に忍耐力と粘り強さを育み、やがて世界に名だたる工芸品を生んだ。「輪島塗」である。Japanの代名詞と言われる「ウルシ塗」の中でも、輪島塗はその堅牢度と優美さにおいて他の追随を許さぬ高い評価を受け、生産高も、国が伝統的工芸品として指定する漆器では、全国に22ある産地の中でも第1位である。
強い粘着力と艶やかな光沢をもつ漆。日本が世界に誇る漆の伝統工芸「輪島塗」は、およそ600年の歴史の中で、職人の手から手へと脈々と受け継がれ、1977年(昭和52年)には、その技術が重要無形文化財として指定され、輪島塗技術保存会によって保存、継承されている。
番組では、「輪島塗」が輪島の地に生れ発展を遂げてきた歴史背景をひも解きながら、他に類をみない堅牢度と人々を魅了し続ける美しさの秘密に迫る。
「輪島塗」は、ひとつの椀が完成するまでに、100を超える工程を経て作られる。その過程にはそれぞれの仕事に真摯に向き合う職人たちが織りなす手仕事ならではの匠たちの世界がある。
そして、匠たちの手によって仕上げられた丈夫で艶やかな漆の塗面に施される美しい加飾の技。今回は、1999年、親子二代(父・前大峰)にわたって人間国宝の認定を受け、「輪島塗」の伝統技術を受け継ぎながら、独自の作風を追求する沈金作家、前史雄氏の仕事をクローズアップ。20余年にわたり公立学校の美術教師を務め、その後も定年まで石川県職員として教育畑を歩きながら、父、大峰の傍らで黙々と作品づくりに打ち込んできた氏の「輪島塗」への思い、新しい作品づくりの現場、今なお後進指導にあたる教師としての姿など、その作品と人柄の魅力に迫る。
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