本と出会う

過去のラインナップ

・2/18 #295
ゲスト:人形師、辻村寿三郎 さん
テーマ本:「平家物語」「たけくらべ」など
酉年の辻村さんは「向こう干支」の卯(兎)の今年は縁起がいいと語る。最近は「雨月物語」「平家物語」の人形づくりに集中している。同じ下町の樋口一葉の「たけくらべ」などの人形について語る。


・2/4 #294
ゲスト:エッセイスト、編集者、千倉真理 さん
テーマ本:「まってる。」(こやまくんどう)
     「Enjoy your life!」(千倉真理)
「外交官夫人」としてパリ滞在中、偶然、絵本「MOI J~ATTENDS」を見つけ、脚本家の小山薫堂に翻訳を、絵を原書と同じS・ブロックに依頼。原書と全く同じスタイルの「まってる。」が誕生した。2009年夏、夫をがんで失う。病院でノートに書き残した家族へのメッセージを自費出版した。


・1/21 #293
ゲスト:スペイン舞踊家、小林伴子 さん
テーマ本:「アルハンブラ物語」(W・アーヴィング)
小林さんがフラメンコ修業したのはアルハンブラ宮殿がそびえるグラナダだった。20年以上も「アルハンブラ物語」を読み返してきた。タルレガの名曲「アルハンブラ宮殿の思い出」に合わせてカスタネットとともに踊りを披露する。


・1/7 #292
ゲスト:グラフィックデザイナー、森須磨子 さん
テーマ本:「種田山頭火の俳句」(山頭火)
2010年は山頭火没後70年にあたる。山口県出身だが四国・松山で没した。森さんは父親が松山出身とあって幼いころから「俳句」に親しんできた。とりわけ山頭火の句が好きだという。「水仙いちりんのお正月です」――などを紹介する。


・12/17 #291
ゲスト:ジャーナリスト、土屋繁 さん
テーマ本:「白蓮れんれん」(林真理子)
毎日新聞政治部記者を経て、中国で日本語教師を務める。現役時代の記事が北京大学の教科書に掲載される。広いジャンルの読書歴から、林真理子コレクションにはまる。元政治部記者が語る真理子ワールド。


・12/3 #290
ゲスト:檜細工師・三浦宏 さん
テーマ本:「にごりえ」など(樋口一葉)
14歳から「檜職人」の世界に入る。仕事の合間に樋口一葉などが描く江戸の建物などの模型づくりを始める。吉原遊郭の大店「三浦屋」の再現はスケールが大きい。「にごりえ」に登場の銘酒屋「菊の井」も。一葉の魅力をたっぷり語る。


・11/19 #289
ゲスト:古書店主、星野史雄 さん
テーマ本:「がん闘病記読書案内」(星野史雄ら編)
がんで妻を失い、「闘病記」専門の古書店を開いた。がんを中心に2500冊に及ぶ。書いた人、読む人、それぞれの人生がある。この夏、自ら「大腸がん」の告知を受けた。重苦しいテーマを淡々と語る。


・11/5 #288
ゲスト:ジャーナリスト、河谷史夫 さん
テーマ本:「酒と本があれば、人生何とかやっていける」(河谷史夫)
朝日新聞の名コラムニストだった河谷さんが、書評と人生論をミックスした一冊を刊行した。「徒然草」は好きだが「枕草子」は大きらい、と“毒筆”を展開。山本夏彦「何用あって月世界へ」の一文をほめあげる。新聞記者として「調査報道」の大切さを強調する。


・10/22 #287
ゲスト:日本フラメンコ協会事務局長、田代淳さん
テーマ本:「坊っちゃん」(夏目漱石)
設立20周年を迎えた日本フラメンコ協会で、田代さんは事務局長をずっと務めている。ガルシーア・ロルカの詩を愛しながら、漱石の「坊っちゃん」は自身の生き写し、と語る。「坊っちゃん」のイメージを音楽にたとえてフラメンコギターを披露する。


・10/8 #286
ゲスト:ドイツ文学者、池内紀さん
テーマ本:「文学フシギ帖」(池内紀)
ゲーテ「ファウスト」翻訳で知られる池内さんは、日本文学についての書評、エッセーでも有名である。森鴎外から村上春樹まで53人の作家論、作品論を展開する。サブタイトルは「日本の文学百年を読む」。読めば読むほど「フシギ」が生まれる、と語る。


・9/24 #285
ゲスト:フリーライター、荻原魚雷 さん
テーマ本:「活字と自活」(荻原魚雷)
古本屋と中古レコード店を回るために就職しなかった。運転免許、クレジットカード、携帯電話を持たず「自分の人生」ペースを守っている。「活字」の魅力と「自活」のポイントを語る。

・9/10 #284
ゲスト:資生堂名誉会長、福原義春 さん
テーマ本:「私は変わった 変わるように 努力したのだ」(福原義春)
2010年は「国民読書年」。経済界のトップ読書家として知られる福原さんは文字・活字文化推進機構の会長の立場から「活字離れ」を語る。「私は変わった――」は福原さんの箴言が並ぶ。「仕事をしているように見えることと、仕事をしていることは全く違う」。チクリと痛い。

・8/27 #283
ゲスト:古本酒場経営 狩野俊・かおり
テーマ本:「文士料理入門」(狩野俊、かおり)
古書店と居酒屋を合わせた古本酒場を経営する狩野夫妻が「文士料理入門」を刊行した。15人の作家の作品に登場する料理を、自ら料理しレシピを紹介している。店のメニューにも登場する。太宰治、檀一雄、武田百合子、向田邦子…。


・8/13 #282
ゲスト:「大村はま記念国語教育の会」事務局長、苅谷夏子
テーマ本:「評伝 大村はま」(苅谷夏子)
国語教育に生涯を尽くした大村はまが亡くなって5年。教え子だった苅谷さんがその評伝をまとめた。サブタイトルの「ことばを育て 人を育て」に込められた深い意味を語る。中学校の卒業間際に「読んでごらん」と手渡されたのは中勘助「銀の匙」だった。


・7/30 #281
ゲスト:児童文学翻訳家、百々佑利子 さん
テーマ本:「ブックバード」日本語版
国際児童図書評議会(本部・スイス)の機関誌「ブックバード」が英語圏以外では初めて日本語版が創刊され、その編集長を務める。いきさつや苦労を語る。翻訳した児童文学の中から「クシュラの奇跡」(ドロシー・バトラー著)への思い入れを披露する。


・7/16 #280
ゲスト:文芸評論家、俳人、齋藤愼爾 さん
テーマ本:「ひばり伝――蒼穹流謫」(齋藤愼爾)
「寂聴伝」に続く「ひばり伝」で齋藤さんは2009年度芸術選奨文部科学大臣賞を受ける。少年時代を過ごした山形県・飛島で船の拡声器から流れる「悲しき口笛」「私は街の子」が生涯忘れられない。最後に俳人として美空ひばりへの鎮魂句を披露する。


・7/2 #279
ゲスト:絵本館社長・有川裕俊、取締役・武井満津子 さん
テーマ本:「いいから いいから 4」(長谷川義史)
「いいから いいから」シリーズの魅力を語る。最新刊は「にんじゃ」が登場。おじいちゃんは今回も「いいから……」で独特スタイルだ。武井さんは絵本のカバーを使って「エコぶくろ」を作って、周囲に広めている。製作方法を披露してくれる。


・6/18 #278
ゲスト:ジャーナリスト、中郡英男 さん
テーマ本:「誘拐捜査 吉展ちゃん事件」(中郡英男)
     「三屋清左衛門残日録」(藤沢周平)
戦後最大の誘拐事件「吉展ちゃん事件」を警視庁の東京新聞キャップとして担当。半世紀近くたった78歳になって捜査、報道の両面から詳細に描く。定年を迎えた時、「三屋清左衛門残日録」を読み、老後を考え直したという。


・6/4 #277
ゲスト:文芸編集員、徳島高義 さん
テーマ本:「ささやかな証言――忘れえぬ作家たち」(徳島高義)
講談社で文芸一筋に編集員をつとめた徳島さんが、交流した作家とのエピソードを展開する。村上春樹の猫を預かったこと、ノーベル文学賞の授賞式に大江健三郎の紹介で招待されたこと、三島由紀夫の自決8日前の姿などを語る。


・5/21 #276
ゲスト:映画監督、作家、小林政広 さん
テーマ本:「春との旅」(小林政広)
カンヌなど国際映画祭で活躍する小林さんが、原作・脚本・監督を手がけた「春との旅」が全国公開される。ニシン漁の再来を夢見る74歳の祖父と、19歳の孫娘が北海道の家を捨て旅に出る。祖父の預かり先を兄弟に頼みに回るが、いずれも断られる。二人の旅はどこまで続くのか――。


・4/30 #275
ゲスト:弁護士、木村晋介 さん
テーマ本:「キムラ弁護士、小説と闘う」(木村晋介)
辛口で知られる木村弁護士の舌鋒がさえる。芥川賞の「蛇にピアス」「蹴りたい背中」については「何も感じないよ」――。話題の「1Q84」もあっさり斬り捨てる。「ハリー・ポッター」シリーズ、「吉原手引草」には絶賛の表現。「刑事コロンボ」シリーズは「あれでは無罪」と言いながらも、コロンボのあの独特の会話テクニックを弁護士として法廷で借用しているとか。


・4/23 #274


・4/9 #273
ゲスト:精神科医、武蔵野大学教授、小西聖子 さん
テーマ本:「ココロ医者、ホンを診る」(小西聖子)
精神科医の「目」から書評を10年間担当、それをまとめた本書が2009年度毎日書評賞を受賞した。これまでの人生で読書を一番したのは小学生時代という。高校時代に接した「フロイト」はまったく理解できなかった。56編の書評集は、温かい「ココロ」に包まれている。


・3/27 #272
ゲスト:ノンフィクション作家、坂上遼
テーマ本:「消えた警官 ドキュメント菅生事件」(坂上遼)
     「不当逮捕」「誘拐」(本田靖春)
坂上さんは放送記者として司法・警察を長く担当した。ノンフィクション作家の本田靖春さんと出会い、影響を受ける。執筆に取りかかる前に必ず「誘拐」を読み直すという。


・3/13 #271
ゲスト:音楽評論家、浜田滋郎 さん
テーマ本:「ロルカ全集」(ガルシーア・ロルカ)
浜田さんが会長を務める日本フラメンコ協会は2010年7月、設立20周年を迎える。日本人のフラメンコへの情熱を語る。父親は「泣いた赤おに」などで知られる童話作家の浜田広介。父親にスペインの詩人「ロルカ全集」の原書を買ってもらった思い出を語る。現在の価格では、12万円に相当するそうだ。


・2/27 #270
ゲスト:歌人、松村由利子 さん
テーマ本:「ライ麦畑でつかまえて」(J・D・サリンジャー)
「与謝野晶子」刊行などの業績で2月に平塚らいてう賞を受けた松村さん。「母性保護」をめぐり与謝野晶子、平塚らいてうの100年前の激しい論争を解説する。英文学科の学生時代、「ライ麦――」を原書で何度も読んだ。1月に亡くなったサリンジャーを悼む。


・2/13 #269
ゲスト:文芸評論家、川西政明さん
テーマ本:「新・日本文壇史 第一巻 漱石の死」(川西政明)
伊藤整らによる「日本文壇史」は明治で終わっている。これを継ぐ「新・日本文壇史」シリーズが1月刊行でスタートした。
全10巻とスケールが大きい。川西さんに構想を聞いた。第一巻では「漱石の死」で芥川龍之介ら大正文学が始まる。北原白秋の「姦通罪」、谷崎潤一郎と佐藤春夫の「細君譲渡」など“裏側”もたっぷり描かれる。


・1/30 #268
ゲスト:「RYOMA」編集長、坂本龍馬さん
テーマ本:「RYOMA」
「坂本龍馬」ブームの中で、主婦の友社は1月に季刊雑誌「RYOMA」を創刊した。その編集長は同姓同名の坂本龍馬さん。龍馬ファンの父親が名づけた。幕末のヒーロー龍馬の魅力について「広い世界観」を第一に挙げる。創刊号の表紙には有名な言葉「日本を今一度、洗濯したく申し候」。


・1/16 #267
ゲスト:文芸評論家、末延芳晴 さん
テーマ本:「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」(末延芳晴)
寺田寅彦は旧制5高(熊本)で、夏目漱石から英語と俳句を教わり、物理の先生からバイオリンの手ほどきを受ける。東京の大学では漱石、正岡子規らと交流する。世界的な物理学者は「音楽の人」「俳句の人」「絵画の人」「映画の人」でもあった。バイオリンとの出会いから、その人生の軌跡を追う。


・1/9 #266
ゲスト:作家、映画監督、山田あかね さん
テーマ本:小説、映画「すべては海になる」(山田あかね作・監督)
書店に勤める女性27歳、高校2年の男子生徒。それぞれに人生の「重荷」を背負っている。ふとしたことで知り合うが、恋愛とはほど遠い。ある日、ふたりは海に出かける。「海」は死を意味しているが、ふたりには新しい人生を歩み始める雰囲気が漂う。


・12/19 #265
ゲスト:大日本絵画編集者、北村正雄 さん
テーマ本:「クオーレ」(E・デ・アミーチス)
「しかけ絵本」を手がけて30年の北村さんが、びっくりするような絵本を次々に紹介してくれる。小学3年生のころに読んだ「クオーレ」について、日本で最も有名な「母をたずねて三千里」の章とは別に感動した内容を語る。最後にクリスマス、正月休みに子供たちへのお勧めの「しかけ絵本」が飛び出す。


・12/5 #264
ゲスト:あんしん財団理事長、西川芳治 さん
テーマ本:「坂の上の雲」(司馬遼太郎)
大学浪人中の図書館で、司馬遼太郎さんの講演があり、それ以来、気になる作家だという。「坂の上の雲」の文庫新装版1-8巻が出て、一気に読み通した。壮大な面白さとは別に、仕事、経営、人間関係に役立つ内容がたっぷり、と語る。


・11/21 #263
ゲスト:エッセイスト、半藤末利子 さん
テーマ本:「漱石の長襦袢」(半藤末利子)
漱石の孫娘による「夏目家の糠みそ」「漱石夫人は占い好き」に続く第3弾。2年前の「文豪・夏目漱石」展で漱石の赤い襦袢が展示され「女ものの襦袢」と紹介されたことから騒動が起きる。漱石文学館ができないことに当時の弟子たちにするどい批判を浴びせる。文章も明解だが語り口も明解だ


・11/7 #262
ゲスト:映画美術監督、種田陽平 さん
テーマ本:「映画の夢 夢の批評」(フランソワ・トリュフォー)
話題の映画「ヴィヨンの妻」で美術監督を務めた種田さんが自伝的絵本「どこか遠くへ」を刊行。映画の道に入る軌跡をたどる。フランス映画監督のトリュフォーの作品はほとんど鑑賞し、自伝本「映画の夢 夢の批評」を繰り返し読んだ。その魅力と美術監督としての影響を語る。


・10/24 #261
ゲスト:法政大学教授、川成洋 さん
テーマ本:「カディスの赤い星」など逢坂剛作品
川成さんが編著の「現代スペイン読本」を通じて、スペインの現状を語る。「スペインもの」小説といえば逢坂剛さん。直木賞の「カディスの赤い星」をはじめ「イベリアの雷鳴」に始まるシリーズを取り上げ、史実とフィクションを織り交ぜた逢坂作品の魅力をたっぷり語る。2人は“スペイン仲間”である。


・10/10 #260
ゲスト:編集工学研究所長、松岡正剛 さん
テーマ本:「多読術」(松岡正剛)
すさまじい読書量で知られる松岡さんが、「読書の方法」について語る。多読・少読・広読・狭読の違い、それにこだわることなく「読書はファッション」と位置づけ、気楽な読書を勧める。「1日1冊」の読書の集大成である豪華本「千夜千冊」全7巻の内容にも触れ、意外なエピソードを明かしてくれる。


・9/26 #259
ゲスト:作家、諸田玲子 さん
テーマ本:「楠の実が熟すまで」(諸田玲子)
     「向田邦子全集」
時代小説家の諸田さんの近著は、「公家方と武家方の戦い」を核にサスペンスあふれる展開である。外資系企業勤務から作家に転身した背景を語る。生誕80年を記念して「向田邦子全集」が4月から刊行されている。諸田さんはその「月報」を担当している。向田作品の魅力をたっぷり展開する。


・9/12 #258
ゲスト:歴史作家、半藤一利 さん
テーマ本:「隅田川の向う側――私の昭和史」(半藤一利)
「歴史探偵」を自認の半藤さんの「目」は、文藝春秋の編集者時代に書きためていたエッセーが源流にある。それが4半世紀ぶりに公開された。生まれ育った東京の下町・向島、疎開先の新潟・長岡、大学ボート部で隅田川に戻ってきた。ユーモアにあふれながらも確かに「昭和史」を語っている。


・8/29 #257
ゲスト:演出家、テレビマンユニオン副会長、今野勉 さん
テーマ本:「テレビの青春」(今野勉)
     「貝の火」(宮沢賢治)
現在の東京放送(TBS)に入社してから、仲間と日本初の制作プロダクションをつくるまでの日々を振り返る。テレビが「一億総白痴化」と言われた時代から名作ドラマ「七人の刑事」まで。小学6年生の学芸会で宮沢賢治作品の脚本を書き、演出、自らも出演したことなどの思い出を語る。


・8/15 #256
ゲスト:マンガ・コラムニスト、夏目房之介 さん
テーマ本:「本デアル」(夏目房之介)
祖父夏目漱石の作品を含め58編の書評が詰まっている。手塚治「鉄腕アトム」、ヘルマン・ヘッセ「人は成熟するにつてれて若くなる」、半藤一利「それからの海舟」……。「文豪の孫」と呼ばれることにうっ屈を感じ続けていたが、2002年、ロンドンで漱石の下宿に足を踏み入れてから「向き合うことができるようになった」と語る


・8/1 #255
ゲスト:映画監督、瀬川昌治 さん
テーマ本:「乾杯!ごきげん映画人生」(瀬川昌治)
     「花ざかりの森」(三島由紀夫)
今年で映画人生60年を迎えた。エノケンこと榎本健一、フランキー堺など多くの喜劇人との思い出を語る。鶴田浩二と三國連太郎のすさまじいライバル意識のエピソードも明かす。学習院の初等科から高等科まで1年先輩に三島由紀夫がいた。文芸部を通じての交流、人柄など若き日の三島を語る。


・7/18 #254
ゲスト:ピアニスト、下山静香 さん
テーマ本:「五輪書」(宮本武蔵)
「裸足のピアニスト」として知られる。なぜ「裸足」なのか?クラシックのピアニストとしては珍しくスペインに留学。その独特の和音、リズムなどを紹介する。「五輪書」に書かれている「朝鍛夕錬」や「拍子を読む」など武蔵の言葉は、剣術の道にとどまらず芸術の道にも通じるという。世阿弥「花伝書」にも触れる。


・7/4 #253
ゲスト:古書店主、作家、青木正美 さん
テーマ本:「古本屋群雄伝」(青木正美)
古書店一筋55年の青木さんが、業界のエピソードをたっぷり語る。岩波書店は古本屋から出発▽江戸川乱歩は兄弟3人で古本屋を開業▽鎌倉文士の川端康成、高見順、久米正雄らが貸し本屋「鎌倉文庫」を開く……などなど。苦労して集めた貴重な自筆本として竹久夢二の絵日記、梶井基次郎の原稿、森茉莉日記なども披露する。


・6/20 #252
ゲスト:エッセイスト、伊吹和子 さん
テーマ本:「めぐり逢った作家たち」(伊吹和子)
編集者として交流のあった谷崎潤一郎、川端康成、井上靖、司馬遼太郎、有吉佐和子、水上勉の6人の思い出を語る。身近に接した作家の意外な面、優しさ、厳しさが浮かぶ。ユーモアにも包まれている。特に谷崎の晩年12年間を秘書、口述筆記を担当しただけに、「谷崎源氏」のナゾも明かしてくれる。


・6/6 #251
ゲスト:近代文学研究者、持田叙子 さん
テーマ本:「荷風へ、ようこそ」(持田叙子)
珍しい女性の荷風研究者の出現である。「好色作家」「世捨て人」「歩く人」のイメージが強い荷風だが、「じっくり読めば、実は『家の中の人』なんですよ」と語る。意外な荷風像を描く。ペンネーム「荷風」についても、驚くべき分析を加えている。生誕130年、没後50年の荷風が生き生きと甦る。


・5/23 #250
ゲスト:エッセイスト、野坂麻央 さん
テーマ本:「リハビリ・ダンディ 野坂昭如と私 介護の二千日」(野坂暘子)
     「ウミガメと少年」(野坂昭如)
作家、野坂昭如さんが脳梗塞で倒れて、まる6年となる。妻暘子さんが介護を振り返り「リハビリ・ダンディ」を刊行した。長女麻央さんがその内容について「苦しい中に、明るさがある」と語る。戦争童話集の中から女優、吉永小百合さんが朗読CD化した「ウミガメと少年」を取り上げ、父野坂さんと戦争について取り上げる。


・5/9 #249
ゲスト:理容師、米倉満 さん
テーマ本:「オーパ!」(開高健)
東京・銀座で創業90年の理容室「米倉」の3代目店主は釣りはしない。だが、開高健のアマゾン釣り紀行「オーパ!」にすっかり引き込まれた。男のロマンなのである。「文章、写真のすべてに圧倒される」と語る。その衝撃こそブラジル人が発する言葉「オーパ!」なのである。開高健に惚れぬいた言葉が展開される。


・4/25 #248
ゲスト:作家、日本ペンクラブ会長、阿刀田高 さん
テーマ本:「松本清張を推理する」(阿刀田高)
松本清張生誕100年の記念企画で阿刀田さんは「松本清張を推理する」を刊行した。清張を敬愛し、清張から学んだ作家が「清張論」をたっぷり展開する。短編のベストワンに「張込み」を挙げ、「潜在光景」について「私が書きたかったアイデア」と語る。称賛だけではなく、なかなか厳しい批評の言葉も飛び出す。


・4/11 #247
ゲスト:歌人、松村由利子 さん
テーマ本:「与謝野晶子」(松村由利子)
「情熱の歌人」与謝野晶子の短歌論、評伝とはひと味違った人物分析である。飛行機に興味を持ち、数字に強く、平塚らいてうとの激しい「母性保護論争」……13人の子供を産み、創作への意欲は衰えなかった。松村さんは「現代の女性の在り方を大正、昭和初期に示していた」と語る。


・3/28 #246
ゲスト:作家、佐伯一麦 さん
テーマ本:「芥川賞を取らなかった名作たち」(佐伯一麦)
芥川賞は今年、140回を迎えた。候補に上りながら賞を逃した「名作」を紹介する。第1回芥川賞は石川達三「蒼氓」だが、太宰治「逆行」も候補だった。川端康成が選評で太宰の私生活に触れたため、仲違いする。吉村昭は4回、島田雅彦は6回候補になったが、ついに賞に縁がなかった。それらの作品を紹介する。「取れなかった」ではなく「取らなかった」名作たちがずらり。


・3/14 #245
ゲスト:作家、映画監督、岸川真 さん
テーマ本:「フリーの教科書 生き延びるための読書」(岸川真)
経済危機のなかでフリーランサーの立場は苦しい。自らフリーの岸川さんは「本こそ生活の力になる」と語る。
プロレアリア文学から近代文学、海外作品まで数多くの本と自らの人生とのかかわりをつづる。坂口安吾「堕落論」を通じて「とにかく生きろ、生き抜け」と力説する。


・2/28 #244
ゲスト:スペイン舞踊家、花岡陽子 さん
テーマ本:『なんたって「ショージ君」』(東海林さだお)
6歳でクラシック・バレエを始めた花岡さんは、高校生時代にフラメンコに出合う。60年におよぶ舞踊生活。10年前に見つけた『なんたって「ショージ君」』を、何度も読み直している。「何気ないが、するどい感性が魅力」と語る。また、いつもカバンにしまっている小さなスペイン語=英語の辞典を披露する。


・2/14 #243
ゲスト:読書アドバイザー、山崎慶子 さん
テーマ本:「疑惑」(芥川龍之介)
     「高瀬舟」(森鴎外)
司書教諭として長年、学校図書館を指導してきた山崎さんは81歳の現在も読書との生活である。「本の世界は万華鏡」という。「疑惑」「高瀬舟」の古典2冊を「安楽死」の観点から読み取る。人生の複雑さ、深みを読み解き、本の魅力をたっぷり語る。


・1/31 #242
ゲスト:クリニカルフードプロデューサー、多田鐸介さん
テーマ本:「輝ける碧き空の下で」(北杜夫)
多田さんは18歳でパリに渡り料理修行する。ホームシークの時、偶然、北杜夫さんに出会い「元気を出せ」とこの本を直接手渡される。ブラジル移住の苦労話に勇気づけられ、「同じ日本人、負けられない」と頑張り、フランス料理シェフになる。最近は介護食の分野で活躍している。


・1/17 #241
ゲスト:作家、早稲田大学教授、堀江敏幸 さん
テーマ本:「未見坂」(堀江敏幸)
2001年「熊の敷石」で芥川賞を受賞した堀江さんが、少年のころの本屋さんでの思い出を語る。近著の「未見坂」は独特の浮遊感あふれる文体でつづられた9つの短編。純文学の旗手が“堀江ワールド”をたっぷりと語る。


・1/10 #240
ゲスト:川柳作家、やすみりえ さん
テーマ本:句集「ハッピーエンドにさせてくれない神様ね」(やすみりえ)
やすみさんは恋、失恋をテーマに作品を発表している。「つまさきのあたたかい恋しています」と幸せを詠えば「転び方すこうし上手くなりました」の句も。文化庁「言葉について考えるワークショップ」で小、中学生への出前授業の風景も語る。2009年初春の「恋」の一句を披露する。


・12/20 #239
ゲスト:東京外国語大学長、亀山郁夫 さん
テーマ本:「罪と罰」(ドストエフスキー、亀山郁夫訳)
100万部超のベストセラー「カラマーゾフの兄弟」に続いて亀山さんの新訳「罪と罰」が刊行された。11月にはロシア文化史に貢献したとしてプーシキン・メダルを受けている。日本でのドストエフスキー・ブームと現代の社会情勢を探る。高校生時代に「罪と罰」の主人公ラスコーリニコフに「同期した」と明かす


・12/6 #238
ゲスト:北里大学名誉教授、立川昭二 さん
テーマ本:「年をとって、初めてわかること」(立川昭二)
「文学と老年」をテーマに斎藤茂吉から青山七恵まで32人の作家と作品を取り上げている。茂吉、谷崎潤一郎の「恋情」はすさまじい。幸田露伴と娘・文との最期のやりとりを「究極の介護」とする。2007年芥川賞作品の「ひとり日和」に「老若の共生」を読み取る。全体を通して老年を「黄金の季節」と位置づけている。


・11/22 #237
ゲスト:古本酒場経営、狩野俊 さん
テーマ本:「勝海舟」(子母沢寛)
「高円寺 古本酒場ものがたり」を刊行した狩野さんが、10年間の経営をユーモアを交えて語る。中学生時代に読んだ「勝海舟」を何度も読み返してきた。子母沢海舟のかっこよさとは別に、「嫌われ者海舟」の一面も取り上げる。海舟と父小吉を取り上げた「父子鷹」にも触れる。


・11/8 #236
ゲスト:詩人、高橋睦郎 さん
テーマ本:「遊ぶ日本 神あそぶゆえ人あそぶ」(高橋睦郎)
人間とその住む土地を治め、あるいは乱すのは神神の「遊び」である。それを人間が神神の代行者として「遊ぶ」――そこから出発して、古事記、日本書紀、万葉集から能、歌舞伎、浄瑠璃、俳句など幅広いジャンルで日本文化論を展開する。「源氏物語」では、源氏および周辺の女性の死を「紫式部が与えた罰」と独特だ。


・10/25 #235
ゲスト:俳人、石寒太 さん
テーマ本:「命の一句」(石寒太)
     「遊行の門」(五木寛之)
古典から現代まで「生と死」に関する俳句として87人・87句を集めた。正岡子規、江夏豊、江國滋、太宰治、中原中也、江成常夫、小学3年生の女の子……幅広いジャンルからの選句である。五木さんの近著「遊行の門」に人生と「命」を読み取る。石さん自身の一句は「生も死もたつた一文字小鳥来る」。


・10/11 #234
ゲスト:ノンフィクション作家、佐野眞一さん
テーマ本:「甘粕正彦 乱心の曠野」(佐野眞一)
     「忘れられた日本人」(宮本常一)
佐野さんは「満州の夜と霧」シリーズとして「阿片王」に続き「甘粕正彦」を刊行。無政府主義者の大杉栄殺害事件の真相に迫る。さらに「阿片王」の里見甫、「満州の夜の帝王」の甘粕を通じて、大正~昭和~敗戦の日本の裏の歴史、闇の社会を描いている。精力的な取材活動は民俗学者・宮本の「忘れられた日本人」から学んだという。


・9/27 #233
ゲスト:文芸評論家、末延芳晴さん
テーマ本:「森鴎外と日清・日露戦争」(末延芳晴)
末延さんはこの夏、「夏目金之助ロンドンに狂せり」、「荷風のあめりか」と夏目漱石、永井荷風に続いて森鴎外を取り上げた。東京・三鷹の禅林寺の「森林太郎墓」に刊行を報告。陸軍軍医と文学者という2つの肩書を持つ鴎外が2つの戦争とどう対処したのか。「徂征日記」「うた日記」を通じてその変化を語る。


・9/13 #232
ゲスト:翻訳家、村岡美枝さん/ライター、村岡恵理さん
テーマ本:「赤毛のアン」(L・M・モンゴメリ)
     「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」(村岡恵理)
「赤毛のアン」は原書出版から100周年。日本で最初に翻訳した村岡花子の孫2人は東京・大森で「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」を運営している。この夏、2人はモンゴメリの出身地で「赤毛のアン」舞台のカナダのプリンス・エドワード島を訪れ100周年植樹。祖母花子と「赤毛のアン」のかかわりをたっぷり語る。


・8/30 #231
ゲスト:画家、宇野かこ さん
テーマ本:「世界最高のホテル プラザでの10年間」(奥谷啓介)
独特のローズレッドの色彩を基調に描く宇野さんの作品は華麗だ。パリと日本で毎年のように個展を開く。その色の「秘密」を明かす。ニューヨークのプラザホテルでただ一人の日本人ホテルマンが書いた本に、パリとの共通点を見いだす。「日本人の国際性の問題がするどく指摘されている」と語る。


・8/16 #230
ゲスト:詩人、長田弘さん
テーマ本:「読むことは旅をすること――私の20世紀読書紀行」(長田弘)
世界の詩人、哲学者、文豪の作品を訪ねて旅をする長田さん。必ずその墓を訪ねる。ベンヤミン、ロルカ、ホーデン、エセーニン……。「死後の生」を確認するためだ。世界の25冊の本をめぐる25篇の詩集「幸いなるかな本を読む人」を8月に刊行した。その1篇を朗読する。


・8/2 #229
ゲスト:コラムニスト、森英介さん
テーマ本:「風天 渥美清のうた」(森英介)
「フーテンの寅さん」役の俳優、渥美清さんが俳句をつくっていたことはあまり知られていない。俳号は「風天(ふうてん)」。森さんは、埋もれた句を探し出し221句を収めた本を刊行した。初期の句は「さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎」。これを含め映画「男はつらいよ」を思わせるものは2句しかない。しみじみ感じさせるものが多く、森さんが好きな句は「お遍路が一列に行く虹の中」――。


・7/19 #228
ゲスト:文芸評論家、三浦雅士さん
テーマ本:「漱石 母に愛されなかった子」(三浦雅士)
夏目漱石「坊っちゃん」の冒頭に「おやじはちっともおれを可愛がってくれなかった。母は兄ばかり贔屓にしていた」とある。生まれてすぐ里子に出され、続いて養子に出された漱石。「我が輩は猫である」から「明暗」まで、作品を通じて母との「距離」を考察する。「則天去私」の心境に至る漱石の人生を、たっぷり語る。


・7/5 #227
ゲスト:落語家、立川談幸さん
テーマ本:「ゆっくりしいや」(大西良慶)
落語家生活30周年を迎え師匠談志のあれこれを描いた「談志狂時代」を刊行した。人間国宝・五代目小さんの物まねも披露する。清水寺の大西良慶貫主が101歳の時の法話をまとめた「ゆっくりしいや」を何度も読み返している。特に「間」について、落語の世界にも通じるといいう。


・6/21 #226
ゲスト:東京女子医大名誉教授、岩田誠さん
テーマ本:「神経内科医の文学診断」(岩田誠)
海外20、国内10の文学作品から、神経内科医の目にとまった「症状」について列記。「不思議の国のアリス症候群」はルイス・キャロルの同名作品から、「肩凝り」という表現は夏目漱石「門」から生まれたとの医学界の“伝説”を明かす。井上ひさし「頭痛肩こり樋口一葉」から片頭痛、谷崎潤一郎「鍵」からは足底反射を取り上げる。


・6/7 #225
ゲスト:冒険家、安東浩正さん
テーマ本:「青春を山に賭けて」(植村直己)
安東さんは厳冬シベリアを自転車で横断、2004年植村直己冒険賞を受賞した。厳しい自然、旅で出会った人間の優しさを写真とともに語る。「人生を決めた」本として「青春を山に賭けて」を片時も離さない。「山への挑戦」にとどまらず、植村の生き方そのものが「人生への挑戦」である、と言い切る。


・5/24 #224
ゲスト:作家、エッセイスト、阿川佐和子さん
テーマ本:「婚約のあとで」(阿川佐和子)
     「ワッハワッハハイのぼうけN」(谷川俊太郎/和田誠)
阿川さんの2年ぶり長編小説「婚約のあとで」が話題を呼んでいる。7人の女性が登場し、恋愛、不倫、家庭問題でのモヤモヤを描く。独身の阿川さんが描く「男と女」の物語は深くて重い。
「ワッハ……」は子供が読んでも「ためにならない」と断言しつつも、教訓的でない内容が魅力、と語る。


・5/10 #223
ゲスト:作曲家・指揮者、伊藤幹翁さん
テーマ本:「英語で歌う、日本の童謡」(G・アーウィン」
      「実存主義とは何か」(J・P・サルトル)
伊藤さんは第1回「全国童謡・唱歌フェスタ」(1月・東京」の実行委員長をつとめた。いつまでも心に残る歌の普及をめざす。伊藤さんのピアノにチェロ、歌を加えて3曲披露してくれる。
学生時代は周りすべてが「サルトル」だった。「いまだに理解できませんが、忘れられない青春の一冊」と語る。


・4/26 #222
ゲスト:国際基督教大教授(仏文学)、岩切正一郎さん
テーマ本:「ひばり」(ジャン・アヌイ)
     「塚本邦雄湊合歌集」(塚本邦雄)
岩切さんはアヌイ「ひばり」とカミュ「カリギュラ」の戯曲翻訳で3月に湯浅芳子賞を受けた。学生時代に感銘した「塚本邦雄湊合歌集」が詩歌への道の第1歩だった。6月に「ロッテルダム国際詩祭」に招かれ、自作詩を朗読する。一足先にその詩を朗読披露してくれる。


・4/12 #221
ゲスト:文芸評論家、川村湊さん
テーマ本:「温泉文学論」(川村湊)
文豪が描いた温泉を川村さんはめぐった。川端康成「雪国」▽尾崎紅葉「金色夜叉」▽松本清張「天城越え」▽志賀直哉「城の崎にて」▽坂口安吾「黒谷村」……夏目漱石「満韓ところどころ」では、中国北部(旧満州)まで。旅行記ではなく、あくまでも「文学論」であり、作品に秘められたものを探索する。まさに名作の「源泉」である。


・4/5 #220
ゲスト:「劇団四季」俳優、吉沢梨絵さん
テーマ本:「赤毛のアン」(L・M・モンゴメリー)
吉沢さんは劇団四季のミュージカル「赤毛のアン」(淺利慶太演出)の主役アンを演じている(6月11日まで、自由劇場)。モンゴメリーの原作出版100周年に当たる。原作と舞台の魅力を語る。カスバート兄妹の愛に包まれたみなし児アンの成長ぶりをどう表現するかの演技の難しさも明かす。


・3/17 #219
ゲスト:国学院大学教授、宮下誠さん
テーマ本:「ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感」(宮下誠)
     「魔の山」(トーマス・マン)
戦争の残酷さを描いたピカソ代表作「ゲルニカ」はどう見るべきなのだろう。宮下さんはこの絵を「どこか乾いている……距離感がある……醒めている……冷たさが漂っている……ユーモアさえ」と書いている。このピカソの「傍観者」的なものが、「魔の山」登場の人物にも通じる、と語る。


・3/3 #218
ゲスト:俳優、大林丈史さん
テーマ本:『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦)
テレビ「木枯し紋次郎」(市川崑監督)のオープニングシーン、街道を行く紋次郎は中村敦さんではなく、実は大林さんだった。「影の紋次郎」を語る。海外放浪から戻って手にしたのが、この本。「邪馬台国」はどこに?「魏志倭人伝をていねいに読み解く」姿勢にひかれる。俳優の道にも通じる、と力説する。


・2/18 #217
ゲスト:「坊ちゃん文学賞」大賞、甘木つゆこさん
テーマ本:「斜陽」(太宰治)
出版社でアルバイトをしながら作家をめざす甘木さん。「タロウの鉗子」で「第10回坊っちゃん文学賞」の大賞を受賞した。その喜びを語る。学生時代に現代小説研究会のサークルに入った。合宿は太宰が「斜陽」を書き出した宿屋だった。リズムのよさ、他人の日記を小説につくり上げる「力」に魅入られる。


・2/4 #216
ゲスト:映画プロデューサー、酒井園子さん
テーマ本:「絹」(アレッサンドロ・バリッコ)
     「The Perfectionist」(Rudolph Chelminski)
公開中の日本・カナダ・イタリア合作映画「シルク」のプロデューサーとして宣伝のため在住の米サンタモニカから帰国した。映画、その原作「絹」の魅力を語る。ミシュランガイド東京版が話題になったが、5年前の2月、フランスの「三つ星」シェフが猟銃自殺した。完全主義者としての料理人生を語る。


・1/21 #215
ゲスト:コロンビア大学名誉教授、ドナルド・キーンさん
テーマ本:「私と20世紀のクロニクル」(ドナルド・キーン)
日本文学研究者のキーンさんが85年の人生を振り返った。米海軍日本語学校でマスターしたはずなのに「源氏物語」の日本語に苦労する。1ページ読むのに数時間。「徒然草」の英訳では、まずタイトルで悩んだ。三島由紀夫など作家との交流が面白い。「日本語を勉強したことで、私の人生は信じられないほど幸せだった」としみじみ語る。


・1/7 #214
ゲスト:資生堂名誉会長、福原義春
テーマ本:「ご冗談でしょう、ファインマンさん」(リチャード・ファインマン)
福原さんは07年10月発足の「文字・活字文化推進機構」の初代会長に就任。「2010年を国民読書年に」運動と取り組む。
財界きっての読書家で、若い人に薦める一冊にいつも「ご冗談でしょう、ファインマンさん」を挙げる。ノーベル物理学賞受賞者のユーモア、あらゆることへの興味が「いい人生」につながった、と語る。


・12/24 #213
ゲスト:グラフィックデザイナー、森須磨子さん
テーマ本:「FRONT」(平凡社 復刻版)
森さんは「しめかざり」研究家として、正月は各地の神社、民家を訪ね歩く。もう30都道府県におよぶ。「FRONT」は戦争中のプロパガンダとして製作され、多くの一流写真家、編集者が動員された。戦争とは全く関係なく「迫力ある写真、大胆なレイアウトには圧倒される。デザイナーの基礎勉強の教材です」と語る。


・12/10 #212
ゲスト:ウーマンズフォーラム魚代表、白石ユリ子さん
テーマ本:「武士の娘」(杉本鉞子)
白石さんは「魚食文化」を国内外に発信している。「魚ぎらいの子供」は母親の責任、と指摘する。「武士の娘」の著者杉本鉞子は新潟・長岡藩家老の娘。結婚で米国に渡り1925年英語版で刊行。日本訳は07年にも増刷され隠れたベストセラー。「日本女性の誇りであり、人生の指針です」と語る。


・11/26 #211
ゲスト:笑いのコラムニスト、木村万里さん
テーマ本:「滑稽の構造」(田河水泡)
大阪で育った木村さんは両親に連れられよく演芸場に。中田ダイマル・ラケットの漫才、立川談志の落語「芝浜」に衝撃を受ける。東京に移住後、若手落語家の育成に力を入れる。漫画家田河の本に「笑いを論理的、真面目、滑稽に取り上げているのがおかしくて……」と紹介する。


・11/12 #210
ゲスト:詩人、蜂飼耳さん
テーマ本:「銀の匙」「島守」(中勘助)
新鋭現代詩人の蜂飼さんは第3詩集「隠す葉」を出した。詩と言語について語る。夏目漱石がほめた「銀の匙」を中勘助自身はそれほど「好き」ではなかったとのエピソードを明かす。「島守」は日記ふうの随筆のようであり、その不思議な「詩的」な言語の運びに魅せられたという。


・10/29 #209
ゲスト:文化人類学、言語学者 西江雅之さん
テーマ本:「地獄の季節」(ランボオ著/小林秀雄訳)
アフリカを中心に学生時代から800回も海外に飛んだ。いつも“同行”は「地獄の季節」である。パスポートみたいなものだ。「ランボオが書いていることはオレ自身だ」と言い切る。10代で詩を捨て、アフリカを放浪したランボオの足跡をそっくりたどった。そして、小林訳の誤りをするどく指摘する。


・10/15 #208
ゲスト:東京外国語大学長、亀山郁夫さん
テーマ本:「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)
ロシア文学者の亀山さんは今年、「カラマーゾフの兄弟」を完訳、「全4巻+エピローグ別巻」として刊行した。「1万人が手にして完読はほんの一部。たくさんの人に味わってほしい」との思いから、現代語訳とリズム感を大切にした、という。この長編の読書ポイントを語る。


・10/1 #207
ゲスト:よみきかせ家、別院清さん
テーマ本:「エプロンおじさんのよみきかせ」(別院清)
1年間の半分以上、日本列島を回っている。保育園、幼稚園、小・中・高校で本の「よみきかせ」のために。「読み聞かせ」と漢字で書かない。母親のイメージでいつもエプロンをつける。「9歳になるまで子供に読んであげてほしい」と願っている。2冊の「よみきかせ」を実演してくれる。


・9/17 #206
ゲスト:作家、松井今朝子さん
テーマ本:「吉原手引草」(松井今朝子)
第137回直木賞受賞作の「吉原手引草」について、たっぷり語る。京都・祗園の料亭で生まれ育ち、吉原を舞台にした小説で大賞、その軌跡は味わい深い。 作家と読者を野球の投手と捕手にたとえて解説。自称「愛亀家」の松井さんは陸亀「俊寛」を紹介してくれる。


・9/3 #205
ゲスト:高校数学教諭、柳谷晃さん
テーマ本:「日本の誕生」(直良信夫)
落語で語られる世界での“数学”をピックアップした柳谷さんの新刊「時そばの客は理系だった」が話題になっている。小学生になる前後に父親(寛=俳優)に「日本の誕生」を何度も読み聞かせてもらったという。古代日本の様子を描いた内容。著者・直良は「明石原人」の骨を見つけた人物。「発見」と「偶然」・「必然」の関係を数学理論でおもしろく説明する。


・8/20 #204
ゲスト:ドイツ文学者、池内紀さん
テーマ本:「デルスウ・ウザーラ」(アルセーニエフ)
池内さんの近著「池内式文学館」が話題になっている。39人の作家論、作品論を交えた独特のエッセイ集。「デルスウ・ウザーラ」はロシアの探検行で、山好きの池内さんの心をとらえた。「自然と人間」の在り方を考えさせられ、多くのことを学んだという。


・8/6 #203
ゲスト:人形作家、森山幸子さん
テーマ本:「天平のミケランジェロ」(田中英道)
森山さんが製作する「あしや千種(ちぐさ)人形」は、山口県萩市の小萩人形を兵庫県芦屋市の女性がアレンジして生まれた。高さ10㌢の人形は、実に細かく艶やかに表現されている。奈良・東大寺の大仏を最初につくった公麻呂は「天平のミケランジェロ」と言われる。森山さんは人形製作イメージを浮世絵、仏像、彫刻から引き出すという。


・7/23 #202
ゲスト:エッセイスト、共立女子大名誉教授、木村治美さん
テーマ本:「白鯨」(ハーマン・メルヴィル)
長年、エッセイ教室で指導してきた木村さんが「六十代からのエッセイ教室」を刊行した。「エッセイ力は人生力」と強調する。「白鯨」は大学の卒論テーマ。それ以来ずっと「魂を揺さぶられ」てきたという。大長編のいろいろな読み方を説いてくれる。


・7/9 #201
ゲスト:「ねこ新聞」編集長、原口緑郎さん
テーマ本:「動物農場」(ジョージ・オーウェル)
“世界オンリーワン”を自称する月刊「ねこ新聞」を半身不随を乗り越えて発行している。近著「吾輩のご主人――天才は猫につくられる」が話題に。南方熊楠、稲垣足穂、シュヴァイツァー博士ら9人の人生と猫との関わりを描く。「猫たち動物との出会いはすべてオーウェルの『動物農場』から始まった」と語る。


・6/25 #200
ゲスト:昭和女子大学学長、坂東眞理子さん
テーマ本:「トニオ・クレーゲル」(トーマス・マン)
坂東さんの近著「女性の品格」が話題になっている。「礼状をこまめに書く」から「倫理観をもつ」まで66項目。「女性」に限定せず人間としての「品格」を問う。「トニオ・クレーゲル」は中学3年か高校1年の時に読み、これまでに何度も読み返したという。生き方の指針を感じた、と語る。


・6/11 #199
ゲスト:スタイリスト、高橋靖子さん
テーマ本:「夏の朝の成層圏」(池澤夏樹)
高橋さんはデヴィッド・ボウイなど国内・海外の著名人のスタイリストを務めてきた。その半生記をまとめた「わたしに拍手!」を基に思い出を語る。池澤夏樹のデビュー作を初版本で読んだ。スタイリストの目で、「これは映画にしてみたい」と思ったそうだ。


・5/28 #198
ゲスト:サントリー窓際OL、斎藤由香さん
テーマ本:「輝ける碧き空の下で」(北杜夫)
「窓際OL」の肩書で週刊新潮にコラム連載の斎藤さんは、この春、ブラジル・アマゾンに足を運んだ。その時の模様を楽しく語る。来年は日本人ブラジル移住100周年。父親の作家北杜夫は、ちょうど30年前、アマゾンを訪れ、長編「輝ける碧き空の下で」を書いた。「車椅子に乗せてでも二人でアマゾンを再訪したい」と語る。


・5/14 #197
ゲスト:画家、森庄平さん
テーマ本:「平家物語」
松山で生まれ育った森さんは、制作活動を「瀬戸内物語」シリーズとして展開している。その根底に流れているのは「平家物語」である。平家の栄華から滅亡まで瀬戸内に凝縮されている。「平家物語は軍記であり、風景の描写がほとんどない」と語り、「だから平家の足跡を風景に描いています」という。


・4/30 #196
ゲスト:写真家、樋口進さん
テーマ本:「輝ける文士たち(文藝春秋写真館)」(樋口進)
文藝春秋の初代カメラマン、樋口さん。文士との交流の中でさりげない表情をとらえた写真集を、この春、刊行した。笑う谷崎潤一郎、立ち話中の今東光と瀬戸内晴美、「火宅の人」の檀一雄と彼女、意識し合う三島由紀夫と石原慎太郎、若き有吉佐和子…総勢270人。思い出をたっぷり語る。


・4/16 #195
ゲスト:スペイン舞踊家、鈴木敬子さん
テーマ本:「愛犬マックス」(関口哲平)
高校卒業後にスペインに渡ってからの「フラメンコ人生」一筋を語る。「愛犬マックス」は、愛犬を誘拐された家族、誘拐した方の家族模様が対比的に描かれる。さて、身代金は?愛犬家の鈴木さんにとって、はらはらドキドキの展開という。人間と動物との「関係」をしみじみと語る。


・4/1 #194
ゲスト:俳人、大高翔さん
テーマ本:「漱石さんの俳句」(大高翔)、「美男子と煙草」(太宰治)
夏目漱石の作句2500の中から「私の好きな五十選」を抜き出し誌上での「二人句会」を展開する。漱石の温かさ、素直さ、自由さを語る。高校生時代に太宰ファンとなる。あまり知られていない「美男子と煙草」。俳句の「こころ」にもつながるという。


・3/18 #193
ゲスト:「古書現世」店主、向井透史さん
テーマ本:「早稲田古本屋日録」(向井透史)、「散歩の日々」(つげ義春)
早稲田古本街の若き店主、向井さんが日常をつづった。「本は触れば触るほど喜ぶ」など本への愛情がたっぷり。漫画家、つげ義春ワールドに小学生のころからはまっているという。読めば読むほど、人生の哀歓が伝わってくるそうだ。


・3/4 #192
ゲスト:経営コンサルタント、山本紀久雄さん
テーマ本:「フランスを救った日本の牡蠣」(山本紀久雄)、「脳力開発のすすすめ」(城野宏)
山本さんは大手化粧品会社を退社後、興味のむくままに世界の牡蠣、温泉を研究。フランスの牡蠣が全滅しかかった時、日本の牡蠣輸入で「再出発」したことを語る。人生の迷いの時に「脳力開発のすすめ」に出会い、発想の転換の重大さを学んだという。「今日あるのは、この本のお陰です」と語る。


・2/18 #191
ゲスト:仏ボルドー・ワインアカデミー会員、塚本俊彦さん
テーマ本:「唐詩選」(明治書院・新釈漢文大系)
東欧の小国スロベニアでのワインづくり指導の功績により昨年、国家勲章を授与された。20年前には中国でワインの合弁会社をつくった。その前後から、「唐詩」に魅了される。いくつか紹介する中に「葡萄酒(ワイン)」を詠んだものも。


・2/4 #190
ゲスト:作家、内藤初穂さん
テーマ本:「星の王子の影とかたちと」(内藤初穂)
サン=テグジュペリの「星の王子さま」の名訳で知られる内藤濯の94年の生涯を長男が描いた。パリ留学中の日記、妻への手紙を通じて「星の王子さま」に至る軌跡をたどる。仏語と日本語の響きを大事にし、意訳ではなく「印象訳」であると断じる。


・1/21 #189
ゲスト:東京かわら版編集長、佐藤友美さん
テーマ本:「春琴抄」(谷崎潤一郎)
日本で唯一の「寄席」情報誌編集長が落語、講談、浪曲の魅力を語る。13歳で「痴人の愛」を読み、すっかり谷崎潤一郎ワールドにはまり、谷崎研究を続ける。今回は「春琴抄」を取り上げ、その情熱的な愛」についてたっぷり語る。


・1/7 #188
ゲスト:女優、松本紀保さん
テーマ本:「黒い家」(貴志祐介)
父・松本幸四郎、弟・市川染五郎、妹・松たか子の「俳優一家」の“素顔”を語る。夜中に読むホラー小説の「怖さ」と「 魅力」について……「黒い家」は
1997年ホラー小説大賞を受賞。紀保さんの2007年初舞台は「殺人者」。


・12/24 #187
ゲスト:ぬりえ美術館長、金子マサさん
テーマ本:「ちびくろ・さんぼ」(ヘレン・バンナーマン)
塗り絵が頭脳にいいと見直され、幼児だけでなく高年齢層にブーム。その魅力、効力について語る。絵本「ちびくろ・さんぼ」は懐かしさだけでなく、その色づかいがいつまでも忘れられない。一時期、黒人差別を理由に絶版となったが、「その間、読めなかった人はかわいそう」と語る。


・12/10 #186
ゲスト:東京大学助教授、野崎歓さん
テーマ本:「カミュ『よそもの』きみの友だち」(野崎歓)
フランス文学者の野崎さんは、40歳を過ぎて初めて子宝に恵まれた。その日々をつづった「赤ちゃん教育」が2006年講談社エッセイ賞に輝いた。カミュの「異邦人」を「よそもの」と新訳し、その読み解き方をやさ
しく展開してくれる。「60年前の作品だが、現代若者とそっくり」。だから読めば、カミュが「きみの友だち」になる。


・11/26 #185
ゲスト:美術家、写真家、勝又邦彦さん
テーマ本:「若き詩人への手紙 若き女性への手紙」(リルケ)
作品「Skyline」で2005年度日本写真協会新人賞を受けた勝又さんは「逞しいクリエーター」として期待されている。その作品を披露する。高校時代からリルケを読み続け、取材旅行にもカバンに詰める。「孤独」について語る。


・11/12 #184
ゲスト:比較文化学者、小山ブリジットさん
テーマ本:「おろしや国酔夢譚」(井上靖)
パリ大学から早稲田大学に留学した小山さんは、教授の紹介で文豪井上靖に会う。その時、「おろしや国酔夢譚」のフランス語訳を依頼された。完成したのは、それから20年後、井上は亡くなっていた。2006年日仏翻訳文学賞に選ばれた。壮大なドラマの翻訳の難しさ、楽しさ、喜びを語る。


・10/29 #183
ゲスト:チェンバロ製作家、横田誠三さん
テーマ本:「日本語の起源」(大野晋著)
2年前の9月、台風で北海道大学の有名なポプラ並木が倒れた。横田さんは依頼を受け、ポプラから2台のチェンバロを製作した。その課程を語る。「日本語の起源」は難しい言語学ではなく、ルーツをたどる「楽しい物語」として読んだ。チェンバロのルーツをたどるのと同じように。


・10/15 #182
ゲスト:エッセイスト、三宮麻由子さん
テーマ本:「新落語的学問のすすめ」(桂文珍著)
三宮さんは「sceneless」(全盲者)という造語をつくった。4歳で失明する。もう一つ造語がある。「落中」――落語中毒である。ピアノ、語学、そして落語、それらが彼女の「福耳」を育てた。いや「福耳」だからこそ身についた。文珍が慶應義塾大学で教壇に立った。その講義に三宮さんは「愛を感じる」という。そして造語をつくった――落語は「幸福の芸術」。


・10/1 #181
ゲスト:書庫バー経営、平石広美さん
テーマ本:「力道山がいた」(村松友視著)
平石さんは自宅から5000冊の本を持ち込んで、東京・四谷に書庫バーを開いた。ジャンルを無視して本を並べたが、「力道山」コーナーだけは別格。少年時代のあこがれ、英雄像は今も変わらない。その究極が村松著のこの本。戦後からちょっと経過したあの時代、なぜ力道山だったのか、を読み解く。


・9/17 #180
ゲスト:文芸ジャーナリスト、大村彦次郎さん
テーマ本:「時代小説盛衰史」(大村彦次郎著)、「文士のいる風景」(同)
2006年長谷川伸賞に大村さんの「時代小説盛衰史」が選ばれた。中里介山「大菩薩峠」~吉川英治「宮本武蔵」の誕生歴史を描く。「文士のいる風景」は戦後から昨年までに亡くなった文士の死にざま、周辺を描く。「100人の作家の100話」でもある。


・9/3 #179
ゲスト:《小さな童話》大賞 水沢いおりさん
テーマ本:「夢十夜」(夏目漱石著)
第23回《小さな童話》大賞に応募した水沢さんの「月とペンギン」が大賞に輝いた。ペンギンが月に向かって飛ぶ、というユニークな発想が評価された。漱石「夢十夜」は幻想的で、かつ現実的である点が好き、と語る。漱石の他の作品はそれほど好きではない、ときっぱり。ちょっとユニークなトーク展開となる。


・8/20 #178
ゲスト:演出家、鴨下信一さん
テーマ本:「誰も『戦後』を覚えていない」(鴨下信一著)、「影を踏まれた女」(岡本綺堂著)
鴨下さんは10歳で終戦を迎えた。それからの5年間に見つめた世相をつづった。「覚えている人は少ない。だが、忘れてはならない」と。綺堂の怪談集が今年もまた刊行された。いずれも大正末期の作品である。「綺堂の文体は実は英語トーン」とその人気秘密を語る。


・8/6 #177
ゲスト:帽子専門店経営、吉澤利男さん
テーマ本:「一瞬の夏」(沢木耕太郎著)、「江夏の21球」(山際淳司著)
プロボクシングのカシアス内藤が東洋チャンピオンへの返り咲きをかけての挑戦を描く「一瞬の夏」。プロ野球の江夏豊(広島)が日本シリーズ対近鉄第7戦の九回裏に展開した技と心理の模様を描いた「江夏の21球」。この2人、著者そして吉澤さんは「団塊の世代」である。


・7/23 #176
ゲスト:コロンビア大学名誉教授、ドナルド・キーンさん
テーマ本:「思い出の作家たち」(ドナルド・キーン著)
日本文学研究家のキーンさんが谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、安部公房、司馬遼太郎の5人の作家との交流を語る。意外なエピソードもふんだんに盛られている。その語り口は各作家への尊敬と情愛がこめられている。


・7/9 #175
ゲスト:ジャーナリスト、山本祐司/小林一博さん
テーマ本:「毎日新聞社会部」(山本祐司著)
社会部長時代に病に倒れた山本さんは、ペンを左手に持ち戦後の大事件を追った事件記者の姿を描いた。下山事件、松川事件、ロッキード事件など……。大学時代からの友人で東京新聞客員論説委員の小林さんも加わり、この本に流れる「ジャーナリズム」を語る。


・6/25 #174
ゲスト:マンガ・コラムニスト、夏目房之介さん
テーマ本:「孫が読む漱石」(夏目房之介著)
夏目漱石は49歳で亡くなった。その年齢を越えてから初めて祖父と向き合えるようになった。それまで「漱石の孫」の強迫観念に包まれていた。改めて漱石作品を読み直した「純粋」文芸評論となっている。孫だから書ける自由さもあり、実にフレッシュである。


・6/11 #173
ゲスト:ブックカフェ「文鳥舎」経営、大森美知子/佐藤久美子さん
テーマ本:「知と熱」(藤島大著)、「三枚つづきの絵」(クロード・シモン著)
二人は10代からの知り合い。ともに父を亡くし、やがて母の介護がやってくる。歩んだ道は違ったが、ここにきて「文鳥舎」(東京都三鷹市)共同経営を始めた。出版関係にいた大森さん、料理関係の大森さんの息はぴったり。それぞれの「思い出の本」はジャンルがまったく異なる。互いに相手の本を「一生読まないでしょう」。


・5/28 #172
ゲスト:ノンフィクションライター、石井妙子さん
テーマ本:「名人」(川端康成著)
石井さんは囲碁観戦記者である。毎年、本因坊決定戦七番勝負の1局の連載記事を担当している。川端作品ファンで、「名人」はまだ囲碁を知らない高校生時代に読んだ。観戦記者になってからは、毎年、新しい文庫本を買って、取材現場におもむく。


・5/14 #171
ゲスト:経済エッセイスト、秋岡榮子さん
テーマ本:「時雨の記」(中里恒子著)
「経済エッセイスト」の肩書は秋岡さんが独自に考えだしたもので、「経済を数字ではなく、現場からあぶり出して表現する」とのこと。「時雨の記」は20代のころに読み、その後、何度も読み返し、いまヒロインと同じ年代になった。「その都度、受け止め方は違うが、感動は同じ」と語る。


・4/30 #170
ゲスト:生物学者、國井喜章さん
テーマ本:「いま自然をどうみるか」(高木仁三郎著)
収録場所は國井さん自宅近くの東京都杉並区久我山の玉川上水べりの公園。「いまいる場所に道路が建設されようとしている。色とりどりの大樹、草木、花がみんな死んでしまう。これはヒトのおごりですよ」と語る。微生物研究から環境問題に入った時、自然との共存をうたった高木仁三郎さんの著書と出会った。


・4/16 #169
ゲスト:劇団扉座主宰、横内謙介さん
テーマ本:「神話の力」(J・キャンベル、B・モイヤーズ著)
20歳で劇団を創設した横内さんは、いま市川猿之助さんと「スーパー歌舞伎」に取り組んでいる。そのキャッチフレーズは「夢みるちから」。
「神話の力」から自然界の謎の源流を学んだ。それらを舞台に反映しようと模索している。「専門書なのですが、ヒントがいっぱい詰まっている」と語る。


・4/2 #168
ゲスト:文芸評論家、小島千加子さん
テーマ本:「三島由紀夫と檀一雄」(小島千加子)、「なぜいま青山二郎なのか」(白洲正子著)
三島由紀夫が割腹自決した1970年11月25日の朝、新潮社編集者の小島さんは、原稿を受け取りに三島宅を訪れた。その数時間後にあの事件が起きた。
白洲さんに、青山二郎について書いてもらうのに、小島さんは4年の年月をかけた。その苦労を語る。


・3/19 #167
ゲスト:フリーライター、大沼紀子
テーマ本:「ゆくとし くるとし」(大沼紀子著)、「天国はまだ遠く」(瀬尾まいこ著)
大沼さんが初めて書いた小説が、2005年の「第9回坊っちゃん文学賞」の大賞に選ばれた。意外な発想について語る。
瀬尾作品が大好きで、すべて読んできたという。女性の複雑な心理をシンプルな文体で展開することを学んだという。瀬尾さんは「坊っちゃん文学賞」大賞の“先輩”にあたる。


・3/5 #166
ゲスト:大和総研チーフエコノミスト、原田泰
テーマ本:「人口減少社会は怖くない」(原田泰/鈴木準著)、「制度 制度変化 経済成果」(ダグラス・C・ノース著)
人口減少、少子化、高齢者社会の未来像を語る。決してネガティブではないことをデータ的に語る。
ノーベル経済学賞のノースの一見難解な書を、イギリスとスペインの盛衰の歴史を交えながら、やさしく解き明かす。

・2/19 #165
ゲスト:スペイン舞踊家、曽我辺靖子
テーマ本:「フジ子・ヘミング 魂のピアニスト」(フジ子・ヘミング著)
フジ子は波乱の人生を歩んだピアニストである。混血ゆえのいじめ、デビュー数日前に聴覚を失う。乗り越えられたのは音楽に対する「魂」であった。「間違ったっていいじゃない。機械じゃないんだから」――彼女の強烈な言葉が曽我辺さんの心に響く。

・2/5 #164
ゲスト:辞典編纂者、榛谷泰明
テーマ本:「静かな大地 松浦武四郎とアイヌ民族」(花崎皋平著)
榛谷さんの近著「ほめことばの事典」は古今東西の文典から実に3000もの「ほめ表現」を選び抜いた。驚くべき読書量である。「静かな大地」を読んで、北海道まれの榛谷さんに松浦武四郎の情熱が乗り移った。「この本が人生観をすっかり変え、生活そのものを変えてしまった」と語る。

・1/22 #163
ゲスト:医師・フレディ松川
テーマ本:「ロビンソン・クルーソー」(デフォ著)
松川さんの近著「今日からできるボケないための7つの習慣」が話題になっている。高齢化社会の中で、ボケないための生活を指導してくれる。子供時代は「ロビンソン・クルーソー」は単純な冒険物語だったが、最近読み直してみて哲学書と感じた、という。無人島ではお金も教養も役に立たない――。

・1/8 #162
ゲスト:歌人 高杉碧
テーマ本:「万葉集」(折口信夫訳)
5歳のころに熟の先生に「短歌のような」作品をほめられたのが、この道に入るきっかけ、という。現代短歌が多いが、その源ともいうべき「万葉集」はバイブルになっている。額田王が大好きで、数首を紹介してくれる。

・12/25 #161
ゲスト:東京経済大学教授 荻内勝之
テーマ本:「ドン・キホーテ」(セルバンテス著、荻内勝之訳)
荻内さんは15年間かけて、名著「ドン・キホーテ」を完訳した。
個人完訳は日本人としては3人目である。大長編は4冊セット。ドン・キホーテと従士サンチョ・パンサの会話の妙をたっぷり味わってもらうため、スペインの地名、歴史、個人目などの注釈はいっさいない。「二人の会話こそ、この長編の命です」と語る。

・12/18 #156
ゲスト:コントラバス奏者 安保龍也
テーマ本:「パブロ・カザルス 鳥の歌」(J・L・ウェッバー編)
「音と言葉」(フルトヴェングラー著)
新日本フィルハーモニー交響楽団の安保さんは、オーケストラとは別にソロ、室内コンサートなど積極的に活動中。コントラバスの不思議な魅力をたっぷり語る。心の師匠はカザルスとフルトヴェングラー。音楽に対する情熱を二人のマエストロを通じて語る。

・12/11 #160
ゲスト:経済評論家 竹内宏
テーマ本:「『断腸亭』の経済学」(吉野俊彦著)
竹内さんの師である元日本銀行理事の吉野俊彦さんが8月に亡くなった。そのレクイエムでもある。
偉大なエコノミストでもある吉野さんは森鴎外、永井荷風、河上肇の研究家でも知られた。その中から荷風についての本を取り上げる。日銀マンの目から「荷風は女性にどれだけ金を使ったか?」という論評が実に面白い。

・11/27 #159
ゲスト:スペイン舞踊家 鈴木眞澄
テーマ本:「カルメン」(メリメ著)
鈴木さん、母、自分の長男、長女と親子3代にわたるフラメンコファミリーである。いずれも現役。「早く孫が生まれて4代フラメンコが夢です」と語る。
「カルメン」は舞台、映画といろいろ表現されているが、やはりメリメの原作が一番という。両こぶしを握って腰にあてスクッと立つカルメンの姿は、フラメンコそのものだそうだ。

・11/13 #158
ゲスト:早稲田大学教授、石原千秋
テーマ本:「こころ」(夏目漱石著)
漱石研究家の石原さんの近著「『こころ』大人になれなかった先生」が評判になっている。
大胆な発想、意外な視点から「こころ」を分析している。文学的でありミステリアスである。作品「こころ」が出来上がる経過についても、驚くべき事実を明かしてくれる。

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